ハガレン不動産 小説
□空き家
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テーブル替わりになりそうなベッド発見っ★
子供部屋のようだ。
机の上には、教科書やらノート・鉛筆が散らばっており他人が使うのを拒否してるっぽい。
部屋一面に貼っている習字と絵。
「お孫さん、字がキレイですね」
「コンクールで賞も取ったんだ」
と他愛もない話をしながら間取りを仕上げた。
「では、後日査定結果を報告致しますね」
と別れたオレは、事務所に帰るフリをしながら、客が居なくなるのを待った。
10分後居なくなった。
というわけで
「水はき悪いなぁ〜」
なんてぼやきながら、
不法侵入v
ちょっとだけな。
だって査定だから、外壁とかの亀裂の確認とかとかとかとかチェックは、いっぱいあるんだから。
にしても、気になる『白い建物』
鬱蒼とした景色の中に、やけに目立つ。
一通りチェックし終わり、近隣聞き込み開始だ。
まずは隣接者から。
「すみませ〜ん。裏の家の件で…」
「言えませんっ!!」
おばぁちゃん…怖っ!!
気を取り直して、
次っ!
「何ですか!?関係ありませんからっ!!」
(;`皿´)
なにさっ
なんかしたかオレ!?
「あぁ〜あの家ね」
4件目でやっとお喋り好きなおばちゃんに出会えた。
でも、犬が五月蝿い…
「お兄ちゃん、あの家に入ったの?」
「はい」
途端に不憫そうな顔をされてしまった。
あの土地で亡くなった人が5人。
精神病になった人が1人。
行方不明が1人。
元々、左側に空き家があった。
区画整理される前からでいつ建てられたのか分からない古い家が。
それぞれ6棟全てに家が建ち生活が始まった頃、袋小路の空き家に男2人が引っ越して来た。
寝たきりの父と
若い息子。
引っ越して来て、1ヶ月も経たない内に息子が放火をした。
寝たきりの父親と建物に灯油をかけて。
息子は、父親の後を追うようにバイクで自爆。
一年後、裁判所の競売で不動産屋の社長が自宅用に土地を購入。
右側に家を建築した。
オレが中に入った家だ。
この不動産屋の社長。
会社の松に首を吊った。
1ヶ月しか住まなかった。
そしてまた一年後。
また裁判所の競売で落札した若夫婦と男の子の3人家族が引っ越してきた。
今回は入居するまえに御祓いをしたようだ。