ハガレン不動産 小説

□曰く付き
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ハボック先輩が新しい煙草に火を付けた。

「明け渡し現場から指輪を拾ってな。安物だとは知ってたんだけど、なんか気になって」

持って帰った?

「ああ。そしたら彼女が気に入ってな。その日から毎日付けてたよ」

それで?

「指輪を見せて欲しいと友人に言われて、ケンカになって刺された」

…死んじゃった?

「指輪を填めていた指を切り落として、その指を食べた」

うわぁぁ…

「そんなに渡したくなかったんだ」

思わず想像してしまい、口の中にあるピザが飲み込めず黙り込むしかなかった。

「それって、腹に入ったはずの指輪が無くなったって話だろ」

ブレダ先輩も話に入って来た。

「そうなんだ。その場にいた全員が見ていたから間違いなく飲み込んだのに、レントゲン撮っても写らないんだ」

―えぇ??じゃぁ何処に?

「無くなった」

ハボック先輩が溜め息と一緒に煙りを吐き出した。

「彼女は今どうしてるんだ?」

ブレダ先輩の問いかけにハボック先輩が両手を使って分からないと表現した。

「どっかの宗教にのめり込んだとしか分からん」

「あまり明け渡し現場から物を取るものではない。骨董屋やリサイクルショップを呼んで金に変えるぐらいしかするな」

今まで黙っていたマスタング店長が口を挟んだ。

「店長だってあるでしょうに。ヒューズさんから聞きましたよ。教えてくださいな。」

ハボック先輩が楽しそうに言った言葉に、マスタング店長が嫌そうな顔をした。

「…ったく。お喋りめ」

後ろにいるマスタング店長を上目使いでじーっと見つめた。

「…話すから、余所見しないでちゃんと食べなさい」

―はぁい。
っても、腹一杯で眠くなってきた。

「私が持ち出したたのは『ノート』だ」



ノート?




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