ハガレン不動産 小説
□御冥福を…
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‡‡‡御冥福を…‡‡‡
心より御冥福をお祈り申し上げます。
ひどく寒い日だった。
「はい。はい。では、海の物と山の物を揃えておきますので…………はい。わかりました。宜しくお願い致します。はい、失礼致します」
「エドワード君。大丈夫そう?」
「金○寺が来てくれるそうです。家財道具はどうなりましたか?」
「マスタング店長が親類方と交渉をしているわ。買い戻しをもね」
オレは彼に
一度だけ
接触した。
まだまだ若い男性だった。
住宅を買い取る日の朝、
約束の時間になっても
家から出てこない彼を
寒空の下、
玄関の前で
ただ待っていた。
彼は近くにいたのに、
玄関の扉を隔てた向こう側から
オレがいる方を向いて
足を揺らしながら………
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