ツナヒバ

□I miss you...
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狂った愛は、

二度と元には戻らないから。









「ねぇ、雲雀さん・・・」



かつて使っていた呼び名。


恭弥、じゃなくて、雲雀さん。


まぁ、彼の名をどう呼ぶかなんて、今はどうでも良い事なんだけれど。


「何時まで寝てるんですか・・・?」


そんな事、俺が一番分かってるんじゃないか。


眠るように俺の横に横たわっている彼のシャツは、真っ赤に染まっている。








何故って、俺が殺したから。



愛しすぎて、殺した。


俺以外、誰にも近寄ってほしくなかった。


恭弥は俺だけのもの。
なのに、どうして他人の前に彼を晒さなければいけないんだ。

そんな俺の独占欲と、
狂った愛情から生まれた俺の考え。

彼の命を奪って、その亡骸を独占しよう。

そうすれば、もう俺から離れられないから。




「恭弥、俺の為に死んでください。」


銃口を向けて、そう呟いた。
彼は目を見開いて、今まで見た事もない悲しい顔をして。

なのに、


「君の為に死ねるなら構わないよ。」


なんて、言うから。

何で抵抗してくれなかったんだろうか。
きっと彼なら逃げることも


俺を殺す事もできたのに。


引き金をひく瞬間に彼が見せた頬を伝う涙が、それはそれは綺麗で。

酷く目に焼き付いて、離れてくれないんだ。




「雲雀さん、俺は間違った事をしてしまいました。」


俺は、貴方を自分の物にする事だけを望んでいたのに、
目を開かない貴方を見ると、涙が止まらなくなるんです。


「ねぇ、起きて、恭弥・・・。」


幾らでも謝ります、何でもします、だから目を開いてください。


今更分かったんだ。


冷たくなった貴方を抱きしめたって

その青ざめた唇に噛みついたって、何も満たされない。



「そうだ、銃弾があと一発入ってるんです。」


貴方のもとに行けるかは分からないけど、

地獄に墜ちても良いから、せめて償わせてください。


そう言うと、死んだはずの彼が、少し微笑んだ、気がした。



「待ってる」

そう言いながら。







笑顔で引き金をひいたのは、初めてでした。











  

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狂った愛と独占欲に押し潰され、綱吉は彼を殺した。
でも、動かず、目を瞑ったままの彼を見ていても何も満たされない。
そこで初めて自分の過ちに気付きました。
そして綱吉は死を選んだ。

それが一番彼を愛せる場所へ行ける気がしたから。

・・・そんな感じのお話。





 

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