ツナヒバ

□I miss your smile...
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君を狂わせたのは、

紛れもなくこの、







ある月明かりに照らされた夜、


「雲雀さん、貴方を殺してしまいたいくらい愛してます。」


何故、今そんな事を。
ふーん、とだけ言い返して、再びベッドに潜り込む。

とてつもなく、眠い。


「ねぇ雲雀さん、もし俺が貴方を殺したいって言ったら、どうしますか?」


なんて意味不明な事を言いながら擦り寄ってくるから、
とても眠っている場合ではなかった。


「僕を殺したいの」

「貴方を俺だけの物にしたいだけです。」

「僕は他人に縛られるなんてこと嫌いだよ。」


そんなの君が一番分かってるだろ、
そう言えば彼はそうでしたね、なんて言いながらクスクスと笑い始める。


まったく、君はどうしてしまったんだろうか。


彼が、壊れ始めている。


壊れ始めているというか、本来の彼が、彼の中から消え去ってしまった、という方が正しいかもしれない。


「俺以外の人間が貴方のそばに居るのを見るのも嫌なんです。」

「・・・僕にどうしろと言うの。」


完全に、狂ってしまった。

彼をそこまで追い込んだのは、

紛れもないこの、僕。


「貴方は俺だけの物なのに、」


そう言いながら、何度もキスを降り落としてくる彼の悲しい表情。
嗚呼、それも僕の所為なの?


「僕は君以外なにも要らない。」


だからそんな顔しないで、
そう言えば、彼は少し微笑んだ。

嗚呼、その顔が見たかったんだよ。


「俺の為に死んでくれって言ったら、貴方は」

「君の為に死ねるなら構わないよ」  


だから、せめて今だけは。


「愛してる、恭弥。」

「僕もだよ、綱吉。」   


本当はもっと一緒に居たかったけど、君が死を望むなら、

君の為に死んであげる。

それで僕も幸せだから。




この闇に紛れた夜が、僕の一生の中で一番幸せで。

そしてこれが君と過ごす最後の夜になったのも、また次の日の話。
  





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狂った愛は時に死をも招く。
でも、愛する人とともに永遠に一緒にいられるのなら・・・
そう考えて、雲雀は彼に殺される事を選びました。
それが一番彼を救える、愛せる気がしたから。

I miss you...の前夜のようなお話。

この2つの話を書くのは、苦しかったけどやりがいがありました。
最後まで読んでいただきありがとうございます。





 

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