ツナヒバ
□古城の孤独なヴァンパイア
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血なんて、キライだ
そんな事言う吸血鬼が、いると思う?
1.
深い深い森の中
どれくらいさまよっていたのだろうか。
そもそも何故こんな所を歩いてるのかも、分からない。
足から血がでている。
すごく、痛い。
だけど、
「こんな所で、止まっちゃ駄目だ」
「止まりたくても、止まれないんだ」
もう歩けない。
なのに、足が勝手に動いて、まるで自分の物じゃないかのように。
ここで歩くのをやめても死んでしまうだろうけれど。
でも、これ以上進んで、この先に何があるんだ。
希望も、光も何もない。
血を流し続けてこの森で死ぬ、もうそれしか考えられない。
救いを求めてもこんな所に家なんてあるはずな・・・
「あっ・・・た・・・。」
あるじゃねぇか。
いや、幻を見ているだけかも。
ただでさえ意識が朦朧としてるんだ。
それにこれって・・・
「城・・・?」
そこには古びた大きな城がそびえ建っていた。
人が住んでるのかも危うい雰囲気。
・・・もう幻でも何でも良いや。
とにかく俺に残された道は目の前のものに縋りつく事だけだった。