ツナヒバ

□古城の孤独なヴァンパイア
1ページ/5ページ





血なんて、キライだ

そんな事言う吸血鬼が、いると思う?





1.


深い深い森の中

どれくらいさまよっていたのだろうか。
そもそも何故こんな所を歩いてるのかも、分からない。


足から血がでている。
すごく、痛い。
だけど、



「こんな所で、止まっちゃ駄目だ」

「止まりたくても、止まれないんだ」



もう歩けない。
なのに、足が勝手に動いて、まるで自分の物じゃないかのように。

ここで歩くのをやめても死んでしまうだろうけれど。

でも、これ以上進んで、この先に何があるんだ。

希望も、光も何もない。
血を流し続けてこの森で死ぬ、もうそれしか考えられない。 

救いを求めてもこんな所に家なんてあるはずな・・・


「あっ・・・た・・・。」


あるじゃねぇか。
いや、幻を見ているだけかも。
ただでさえ意識が朦朧としてるんだ。


それにこれって・・・


「城・・・?」


そこには古びた大きな城がそびえ建っていた。
人が住んでるのかも危うい雰囲気。

・・・もう幻でも何でも良いや。


とにかく俺に残された道は目の前のものに縋りつく事だけだった。 




  
次へ

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ