6918

□それはつまり恋だった
1ページ/1ページ


「お腹、痛い・・・」
「おや、どうしたんですか」
「お腹、痛いの・・」



最近おかしい。
いつもはこんなに腹痛なんてしないのに、
骸が、骸がいると急にお腹が痛くなる。

特に今日は、激痛。
痛いというか、苦しい。


「あ、もしかして生理痛ですk「死ね」


というか僕男なんだけど
そういったら
恭弥可愛いから生理痛だっておこっちゃいそうですよね
なんて。かなり意味不明。


でも、今、可愛いって、いった?


どうしてそこにつっかかるのか自分でもわからない。
でも何故か、その言葉をきいたら
顔も暑くなって、さらに腹痛も酷くなった。


「暑い・・・痛い・・・」

「おやおや、熱でもでました?」


そう言って骸は僕の頬にふれた。


「あっ・・・」


もうだめ、息ができない。


「本当にいたそうですね、病院いきます?」


ソファに丸まっている僕の体をさすりながら聞いてきた


「ヤダ、やめて、触らないで」


骸のせいで僕、死んじゃいそうだよ
全身熱くて、すごく苦しくなって。

どうして、こうなったんだろう。
ちょっと前までは、骸と喋ろうが、触れられようが、
こんなに腹痛なんてしなかった。


「僕、おかしくなっちゃったのかな」

「?」

「骸のせいだ、骸が触ったら余計痛くなるからやめて、離れて!」


そう言って骸を押しのけた


「恭弥・・?」


突き飛ばされてびっくりしている、半面僕を心配そうに観た。


「どうして、骸を見ると苦しくなる、ねぇ、
なんで?」

「僕に何かした?ねぇ骸!!」


必死に叫んだ。
骸ならこの熱くて、苦しい何かの原因を知っているはず。

どう反応するかと思ったら、
一瞬きょとんとした顔をして、すぐに優しい微笑み、いや、どこか不敵な笑みが混ざったような顔を浮かべた。

そしてまた僕に近づく。


「こ、来ないでってば、」

「恭弥。」

「っなに?」


骸に見つめられて、呼吸ができなくなりそう
になった


「君が痛いのはきっと、お腹じゃなくて胸ですよ」

「…え?」

「どうして僕をみたら、熱くなって、息ができなくなるのか、
それはもう少し君が成長したら教えてあげます」

「な、なにそれ、今教えてよ」

「ダメです。今日はもう帰りましょう」

「あ、ぅ、ちょっと」


手を握られて、変な声が出てしまった。
骸の手は、すごく暖かい。


「…恭弥って、何も知らないんですね
そんな無垢なところも可愛くて好きですけど」

「え?なに?」

「いえ、何でもないですよ」


手をつないで、骸がほほ笑みかけてくれて、
また暑くなったけれど、お腹は何故か痛くならなくて、何かが満たされたような、気持ちになった。

この気持ちも、この時の僕はなにも分かってなかった
これは、恋、という名の病だったんだ、という事に。
僕がそれに気づくのは、もう少し先の話。



それはつまり恋だった
(人を好きになるって、こんなに苦しい事なの?)
 
 




----------------------------------------


初ムクヒバ。
悲しいお話が多めなのでたまには甘々な感じを意識して。
無垢な雲雀たん可愛すぎると思う。




[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ