Vongola Carnevale

□ずっとずっと、貴方が好きでした。
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ねえねえ、貴方は知らないでしょうけど私には有名な通り名がついてるのよ。フリーの殺し屋だから頼まれた仕事は全部引き受けてたの。今回もね、貴方を暗殺しろっていう仕事が舞い込んできたのよ。私は大喜びで引き受けたわ。潜伏先はあの巨大ファミリーよ?滅多にお目にかかれるものじゃないし、殺すついでに豪勢な生活を少しだけ楽しもうかなって思ってたの。…私、腕はあってもお金はないからね。……予想に反して奇想天外な場所だったわ、もうサイアク。金に五月蠅いチビはいるし、衝動的にナイフを投げてくる少年がいたり、厚っ苦しい男はいるし……あぁでも、流石だなって思う人もいたわ、オカマな彼と髪の長い人。自由に慣れた私には少し窮屈な感じがしたのだけれど、逆に心地よかった。きっと貴方がいた所為ね。一目見たときから、その紅い瞳、血に飢えな獣のような眼差しがすごく……尊敬した。うーん…言葉がおかしいね。畏敬の念を抱くって言うのかな、兎に角私はものすごく納得がいったわけですよ。今までの奴らが貴方の息の根を止め損ねた理由がね、身に沁みて実感した。初めて、尊敬を抱いたのよ。でももう遅いわ。私の身は貴方に仕えられるほど綺麗ではないの。私は無垢な少女ではないし、ましてや無知な女でもないのよ。だから、貴方を殺そうとした不逞の輩を、文字通りこの身を焼いてでも始末してきます。ってその輩に私もいるんだけど…貴方は笑う?この身を焼いて死ぬなんて。でも貴方に死んだ後の私を見られるのはすごく嫌なのよ。だから、この声が、髪の毛が、肌が、内蔵が、何も残らない、すべてが無に還る炎で死にたいの。出来ることなら貴方の内に秘めたる炎で蒼空に還りたいのだけれどそれも贅沢ね。…私だって女ですよ?愛する者を残して先立つならば綺麗さっぱり逝きたいじゃないですか。……もう自分でも何言ってるかわかんない。ごめんなさいね、こんな私を側に置いてくれてありがとう。…あぁもう時間だそうです。
じゃあ、最後に一言。



ピー…………




ずっとずっと、貴方が好きでした。

(貴方がいた世界は守られましたか)(貴方が生きているなら、それでいいのです)





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