-Novel-

□蒼い瞳のカンパニューラ
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 ほんの出来心だったんだ...



ボクの家から近い森の中には、
化け物がいる
って噂が立ち始めた。
一週間くらい前からだった。
ボクの中学ではこの頃「化け物」の話で持ちきりだ。


その森は、夜中になると沢山の化け物、
俗に言う 幽霊が森の中をカラスと蝙蝠と一緒に這いずり回ってるなんて噂。


信じる奴は信じる噂だな、と心の中で思う。
女子は怖がってるのか楽しんでるのか。
男子も男子で、森に探検しにいく計画を立ててたり・・・
でも、まだ誰も森に入った事なんか無かったりする。



「おい!ちょっと聞けよ!
化け物最新情報だぜ!」

いきなりボクの背中を叩いて話かけてきたクラスメート。
割と仲の良い友達だったりする。



「なんだよ 最新情報ってのは」

ボクは内心ワクワクしているのがバレないように、わざと冷静を保って聞き返してみる。


ニタニタと気味の悪い微笑みを浮かべる友達に、少し鳥肌が立つ。



「あの森の中の、一番奥には崖があって、その下には猫の村があるんだってよ!!」


「猫だ?」
一気に拍子抜けした。
猫って、あの動物の・・・



「そうそう!昨日近所のおばあさんが森の近くで沢山の猫をみかけたらしいぜ!
化け物化け物って本当は猫だったってオチかもな!」


がははと豪華に笑って、
瞳を輝かせながらボクに恐ろしい言葉を放った。


「なぁなぁ!今夜あの森に入ってみようぜ!
お前も気になるだろ!な?
ほら!きっと真実を突き止めたら俺達きっと勇者だぜ!」

嗚呼、こいつは突拍子も無いことをポンポン言える能天気な奴だった。
単純と言うかお気楽と言うか、なんだか羨ましい性格してるな、と心底思った。


しかし、とんでもないお誘いだ。
ボクは好奇心は有るものの、小心者だ。
別に勇者になんか・・・いや、正直ちょっとなってみたい気もするが、、、
でも怖いものは怖い。
いつも話しを聞いてるだけでお腹一杯の気分だ。

そこで友人の一押しがボクの心を揺らした。


「ほら!
ひとりじゃないだろう?俺も行くし、二人なら絶対行けるって!」

「・・・。」


「夜中に探検なんて滅多に出来ないし!」


「・・・お前、起きてられるのかよ・・」


「そんなの当たり前だろうが!
絶対寝ないと此処に誓うぜ!」
鼻高々だ。
これだけ自信に満ち溢れてる奴を見るのは、なんだか面白い。

「わかったよ。でも必ず来いよなー」
と、頬杖をつきながら結局折れた。

「よっしゃ!じゃあ夜中の12時に森の入り口な!約束だぜ!」

勢いよく喋り終わると、スキップしながら席に戻っていく。
コーヒー飲まないとな!とか、大声で叫びながら。


ボクは頬杖をついたまま、小さくため息をついた。


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