-Novel-
□どろり。
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数日前、友人Aと喧嘩した。
今日は友人Bと喧嘩した。
友人Aは、私が謝っても許してくれないから私はつい彼女の財布を盗んでしまった。
残ったのは罪悪感と、ちょっとした達成感。
してやったり、なんて思った。
友人Bとも仲直り出来なくて、彼女の大切にしていた本を盗んでしまった。
嗚呼、私ってなんて嫌な人間だ。
気持ち悪い。
でも、ちょっとした達成感が何故か私をワクワクさせたのだった。
ある日、学校での女子の噂話を耳にした。
「心と頭が汚れた人って、腐っちゃうんだって。」
私はそのことを耳にしても全然気にしなかった。気にするどころか、馬鹿馬鹿しいと思って真に受けなかったのだ。
しかし、次の日の朝私に異変が起こった。
何故か左手が重いのだ。
石のように、ずっしりとしていて感覚はあるのだがなんだか不思議な感じかする。
別にあの噂など気にしていない、はずなのに。今更少し怖くなってきた。
「心と頭が汚れた人って、腐っちゃうんだって。」
あの言葉がリピートする。
また翌日、左手はもっと重くなっていて、動かすたびに痛むようになった。
そのまた翌日にはとうとう、動かすことも出来なくなってしまった。
心と頭が汚れた人って、腐っちゃうんだって。
ふ、と意識するとまたリピートする言葉。
怖くなって、下唇を噛み締めた。
その翌日、
「あ、」
ごとり、
左手が、腐って落ちてしまった。
「心と頭が汚れた人って、腐っちゃうんだって。」
あの言葉を思い出した。
今度は何処から腐っていくのだろうか。
脳みそだったら、きっと溶けてしまうのかもしれない。
どろり。
(意識してしまった)(ごろり、今度は頭が落っこちた。)
*あとがき*
突発的なネタ。意識って怖い。