-Novel-
□オてがみ。
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僕は今仕事から帰ってきたばかりだ。
ネクタイを取って、スーツを脱ぐ。
ピンポーン
インターホンが鳴った。
回覧板か?とか内心思いながら、疲れてヘトヘトな足をズルズル動かして玄関へ向かう。
ガチャ、
「はい、」
…………。
誰もいなかった。
イタズラかと思いすぐドアを閉めようとした、
「あれ、」
ドアの前に何か落ちているではないか。
僕はしゃがんでそれを拾い上げる。
白い便箋の手紙だ。
誰からだ?
宛先などは一歳書いていない。
とりあえず中を開けてみた。
「る。」
と、書いてある。
大きな文字で る。
と。
僕はため息をついてテーブルの上に手紙を放って放置した。
くだらないと思ったからだ。
***
翌日の夜。
ピンポーン
またインターホンが鳴る。
僕はのそのそとドアを開けた。
やはり人はおらず、その代わりに落ちているのは昨夜と同じ手紙。
僕は手紙の中身を確認する。
「い」
とだけ綴られていた。
昨日は る。 今日は い …
「るい?」
単純に合体するとそうなる。
僕はその手紙をテーブルに放置した。
****
あれから6日経過し、「い」の次は「ベ」や、「の」や、「た」など毎日送られてくる。
因みに今日は「ッ」だ。
全く関連性がない文字ばかり。
繋げるとワケの分からない内容になる。
*****
次の日、また手紙があった。
僕は手紙に目を通す。
「し」
と、書かれていた。ただそれだけなのだ。
「一体誰がこんな事…」
僕は一週間とちょっとで溜まった手紙を並べてみた。
組み合わせて行くうちに、「ベッド」という単語ができ、次に「した」「いる」
そして、「ぼく」
僕は文章を完成させた。
「ぼくはベッドのしたにいる。」
僕は立ち上がって寝室へ向かい、ベッドの下を覗き込んだ。
「あ、」
目が、あった。
「やっと見つけてくれましたね。」
ベッドの下には、男の人がいたのだった。
ただ、それだけだ。ただ、居るだけなのだ。
オてがみ。
(いつから居たのか)(何者なのか、ただ居るだけなのだ)
*あとがき*
突然思いついた。
下に人がいるねたw