-Novel-

□私が噂の宇宙人
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此処は道路だ。
道路というより小道だ。
横には河川敷。そして自転車がひっくり返っている。
そして私は今自分に何が起こったのか理解出来ていないようなのだ。

確か、今日はコンビニに行こうとして、家を出た。
それでコンビニに着いてアイスを買った。
今日は真夏日で早く帰らないとアイスが溶けると思って、急いで家に向かって自転車をこいでいて、
坂道を下っていて・・・

ダメだ。
ここから先の記憶が無い。
おまけに自転車はあるもののアイスの入った袋がない。

そもそもなんで私は道路で横になっているんだ、これじゃあ変人じゃないか。
確かにここは田舎だ。ドが付く田舎だ。だから滅多に車なんか通らないのだけれど。

なんてぐるぐると記憶を辿ってみたり、色々考えていた。
少しだけ理解できた。
しかし、理解できない点がひとつ。
さっきも思ったのだが、どうして道路に横になっているかが問題なのだ。


自転車をこいでるうちに段々眠くなってきて道路にひっくり返って寝ようとしたのか?
まさかまさか、確かに私はちょっとドジなところもあるが道路で寝ようと考えるほどイカレて無い。

じゃあどうして・・・

「いったっ!」

起き上がろうとしたら足に激痛が走った。
痛みでまだ目が開けない。

ここでようやく「転んだ」という事に気がついた。
転んで頭を打ってそのまま動けなかったようだ。
暑さのせいでコンクリートから陽炎がみえる。ゆらゆら、じりじりしているコンクリートをみつめて呟く。

「暑さのせいで頭の回転が遅いんだ・・・」

私は未だに痛む足を見た。


「えぇ!?」

思わず叫んだ。
足を見たのに足が見当たらないのだ。
否、見えないと言ってもいいだろう。

私は驚きながらも立ち上がった。

「手も・・・」

そう、手もみえない。

透明人間になった錯覚に陥る。

混乱していると、後ろから人の声がした。


「おーい、そこのきみ」

私は後ろを向いて更に驚いた。

そこに居たのはなんとアイスを食べながら歩いている私の姿なのだ。

「わ、私がふたり!?え、ドッペルゲンガー!?」

私の視線の先にいる「私」はため息をつきながら話はじめた。

「いやぁ、悪い悪い。何かきみが自転車でこの坂を下っていたところに偶然ぼくが通りかかってさ、ぶつかっちゃったわけよ。というか、正面衝突しちゃって・・・その・・・」

「私」が目を泳がせる。
「何よ!はっきり言って!」
私はなかなか先を話ださない「私」にイラついて声を張り上げた。


「いや・・・ぼく、宇宙人なんだ。
それで、普段人間に見えないように透明な姿で動いているんだけど・・・
その・・・体が入れ替わっちゃったみたいで。」


宇宙人?
入れ変わった?
しかも中身じゃなくて、「外見」「外側」「体」「カラダ」が。


私は震えながら尋ねた。


「つまり、あなたは「私」の格好をしてる「宇宙人」ってわけ?」

「そうなるね。」

「で、私は中身は私だけど格好は「宇宙人」ってわけ?」


「そうみたいだね」

「からだ、だけ入れ替わったってわけ?」

「そうだね」

「どうするわけ?私このままずーーーっと、宇宙人なわけ?中身は私なのに?」

「・・・」

「ちょっと!なんとか言いなさいよ!」

「・・・」

「それ、私のアイスよ。」

「これ、アイスって言うのか。」


耳元で蝉が大合唱している。















私が噂の宇宙人
(これからどうなるんだろう。)(・・・さぁ?)



*あとがき*
突発ねた。

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