へたれ小説

□報酬(第4話)
1ページ/4ページ

俺達は喫茶店を出ることにした。

俺はアルティーノのあの問い掛けに答えず、帰る車を走らせた。
アルティーノは何か言いたい顔を助手席でしていたが俺が運転に集中できないだろうと黙っていた。
車の中で重い空気がのしかかる。

早く基地に戻りたくて仕方がなかった。
あまりにも遅いとベルティアナやオリシスに何を思われるか…

しかし遂にあいつが口を開いた
「今日はありがとう…。ホント楽しかったよ。」

俺は無言のままでいた。
「嘘じゃ無いって!本当にアイスマンがアタシの相手してくれて凄くうれしかった」
「お前だから相手した訳じゃないけどな」

アルティーノは黙った。
最低だ。
いや、今は帰ることに集中したかった。
すると俺の携帯電話が鳴り響いた。
車を端に停めて俺は電話に出た。

「アイスマン。依頼が来たよ。内容は………」
旧政府か。やっと来たか!俺は嬉しかった。
「…で…いつからその場所に行けばいい?」
「一週間後だ」
「わかった。支度してその場所に予定通りに着くようにする。」
俺が携帯電話で旧政府の奴に電話をしていたその時ーーーー!

「あんた達……アイスマンを道具扱いしないでよ!!!!」
「バカ!!何をしやがる!」
何とアルティーノが俺の携帯を取り上げ旧政府に対して悪口を言い始めたのだ!
こいつは何を考えているんだ!?
「てめぇ!何してんだ!」
「…アイスマン、アイスマンだな。まあ伝えたい事は今のところそれだけだ。また依頼の前日に連絡する。……………」
旧政府からの連絡が切れた。
俺の気のせいだろうか。切る直前に電話の向こうで笑い声が聞こえた気がした。
俺はあいつの方を向いて怒鳴った。
「アルティーノ!お前っ!!!」

するとアルティーノは俺に抱きついてきた。
「おい!離れろ!」
「嫌っ!あたしあいつ等を許さない!アイスマンを何で道具扱いするのよ!」

「何を言っているんだ!俺の仕事だぞ!お前だって整備士の仕事は機械や戦闘機を作るための道具みたいなもんだろ!」
「でもっ!アタシは整備士で事故以外で死んだりしない!アイスマンはっ…死ににいくようなものでしょ!」
「俺が死んでも誰も悲しんだりはしない!俺は傭兵だ!戦争の道具だ!人間じゃない!」
「アタシは悲しいわよ!!!」

俺はアルティーノにそう言われた時、涙が出た。
サングラスをかけているからあいつには見えないかもしれない。
「お前は…………本当に馬鹿だな……」
次へ

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ