短編【HP】

□モノクロなおんなのこのおはなし。
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最近、友人の様子がおかしいです。


「ノエル、俺、誰でもないお前が好きなんだ」

「うん、私も好きだよ。シリウス」

「いや、だからそうじゃなくて……」


ずっとこんな調子。
毎日のように「好き」と言ってくれるから、私も好きだよ、と言うと違うって言われて……。
だからなんなんだろう?

最初のときは「そうか! 俺、ノエルが好きだ!」って言われた。
シリウスはいつもいつも他の女の子に好きだって言うけど私には言わないからビックリした。
……それから「好きだ」「私も」の繰り返し。


「あー、なんて言ったらいいんだよ!」

「だって私、シリウスが好きだもん。それじゃあ駄目なの?」


疑問をぶつけると「駄目だ!」とすごい勢いで言われた。
勢いに負けて思わず黙る。


「だからな……お前は俺を友達以外で好きとか思わねぇのか?」

「えっ、友達以外に何かある? ……あれ、シリウス?」


机でふてくされてるけど……なんで?


「シーリーウースー?」

「……お前は本当に俺を友達としか思ってねぇのか」

「うーん……?」

「俺は、お前を……誰よりも大切に思ってる。何がなんでも守りたいし、誰にも渡したくない」

「ど、どういう……?」

「……俺はお前を、愛してる」


愛し……?


「え、シ、シリウス……?」

「今のを聞いて、お前はどう思う?」


シリウスが真剣な表情で私を見る。
こんなシリウス、何度も見られない。
私もちゃんと答えなきゃ……。


「私も、シリウスが大好きだよ。友達じゃなくて」

「……! 本当か?!」

「うん」


シリウスに笑いかけるとシリウスに勢いで抱きつかれた。
なんか恥ずかしいけど、シリウスが嬉しいならいいか。


「それなら付き合ってくれるよな!」

「え、どこに?」


またシリウスが固まった。
シリウスのことだから他の女の子のところへ、かな。


「ちょ、ちょっと待て。お前、俺を友達以外の何で好きなんだ?」

「何って……親友?」


その後、再びシリウスは机でふてくされました。
近づいて声をかけると何やらぶつぶつと言っていました。





「天然が故の恐ろしさだな……」





(どういうこと?)

(……わかんねぇならいい)



(でも友達から親友ってランクアップしたよな……!)
 

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