多ジャンル小説置き場

□誰も救われない
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西くんが死んだ。
二回目の死。
最後に目が合った。
苦しかった。

「百点……とらなきゃ……」

たすけられなかったから。
私が、弱かったから……っ
私がもっと強ければ、西くんは助かったのに……!
西くん、西くん。

ガンツによってミッションから戻されれば、どんな怪我でもなおる。
百点取るまで、死なない程度にクリアしないと。
3点、11点、どんなに低い点数でも、とりあえず取らなきゃ。
死んじゃだめ。
西くんを生き返らせるんだ。
死んじゃ、だめ……なのに。

「似伊さん……!」

どうして、私、なんで。
こんなに弱いの……?

「玄野、く……」

腕が上がらない。
骨、折れたかな。
涙さえでない程、痛みがやってこない。
……玄野くんの体温、暖かいなあ。
西くんも、この玄野くんの体温を感じたのかな。

「百、点……とって、ね……。玄野、く……は……っは、死んじゃだめだよ……」

玄野くんは西くんと似てる。
西くん。
私、西くんを助けられなかった。
生き返らせることも出来なかった。
ごめんね。

「……玄、野くん……一つ、だけ、い……?」
「もう、もう喋らない方が……!」

話せるうちに話しておかないと。
だって、損じゃない?
まだ話せる力があるんだもの。
にこりと小さく笑って、玄野くんを見る。
いつ星人が来るか分からない。
早く要件を済まさなければ。

「西、くんを……生き返らせて、ほしいな……。わがまま、だけど……ごめん、ね」

血が、溢れ出す。
口の中は鉄の味が広がって、吐き気さえ起きる。
でも、気持ち良い。
生きてるんだ。

「は……っ、生きてる、て……いーね……」

西くん。
ごめんね。
私、死んじゃうけど、西くんが行き返ること祈ってるよ。
だって西くんのこと好きだもん。
また、会えるといいな……。

玄野くんに名前を呼ばれるなか、闇へと落ちていく。
死ぬ。
そんなの、あんまり怖くないな。
一回死んでるからかな?






次に会うときは、ガンツのない世界がいいな。






(西くん、ちゃんと生きてね)






西くんが好きでやってしまいました。
初めて好きになった俳優さんなのです。

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