多ジャンル小説置き場

□好きなんだから仕方ない!
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「西くん」
「んだよ」
「好き」
「……は」
「だから、好き」

珍しく雑誌なんか読む西くんの目の前でそういえば、適当に返事を返していた西くんが私に目を向ける。
好きという言葉だけでこっちを向いてくれるなんて思わなかったから、ちょっと嬉しかった。
だから調子に乗ってもう一回言えば、西くんはぱっと顔をそらせて小さく呟く。

「……ばっかじゃねぇの」
「好き」
「会話が成立しねーんだけど」
「西くん、好き」
「……はあ」

返事を返して欲しくて、餌を欲しがる犬のように西くんの目の前で待ち続ける。
西くんは雑誌をばさりとベッドに起き、自分の頭をぐしゃりと掻く。
返してくれるのかな、そう期待した直後、手を絡まされてぐっと引かれる。
手を繋ぐなんて、あまりしないから驚いたけど、もって驚いたことに額にむにっとした柔らかい感触。

「西くん?」
「何回も名前呼ぶな」

鬱陶しい、と付け加えたそうな言い方に、抱きしめる行動。
ミスマッチで思わず噴き出す。
可愛い。

「笑ってんじゃねーよ」
「ふふ、ごめん」

ぎゅーっと力を込められて、痛いよりも愛しい。
西くんのぶっきらぼうなとこ、好きだよ。
もうちょっと他人に興味を持ってくれれば嬉しいかも。
でも好き。

「西くんも好きって言ってよー」
「絶対言わねー」
「なんでー? ちゅーはできるのに」
「っるせぇ」

むう、として西くんの腕の中から彼の顔を見る。
西くんもこちらに気づいたようで見返される。
相変わらず綺麗な顔ー。

「なに見てんだよ」
「別にー。好きって言ってくれたら教える」
「別にいいし」

また顔をそらされて、ぎゅっと抱きしめ返せば西くんは私から腕を離す。
舌打ちが聞こえたと思って顔を伺えば、眉間にしわを寄せてほんのちょっと頬を染めている。
素直じゃないなあ。

「ヘラヘラ笑ってんじゃねーよ」

西くんに言われるとなんだかもっと笑っちゃう。
だって、だって――






「西くんが好きだもん」






(は? 意味わかんねー)
(西くん好きー!)
((……絶対言ってやんねー……))





何がやりたかったのかよくわからないです←
とにかくクールな西くんとあまーくさせたかった、んですかね?←

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