短編【HP】

□3つの必要なもの
1ページ/1ページ


ポカポカと暖かい日差しの中、芝生の上に寝転がっているといきなり影がさした。

んだよ……曇ってきたか?

目を開けると、長くて黒い髪の女子が顔を覗き込んでいる。
ああ、ノエルだ。
ノエルはにっこりと笑って、口を開く。


「シーリーウース! 起きてるー?」

「見てわかんねぇのか?」


ゆっくりと起き上がると、ノエルはへらへらと笑って俺の隣に座った。
そして急にこちらに顔を近づける。


「さて問題です! 花には何が必要でしょうか!」

「……は?」


顔近づけるもんだから気があるかと思えば……
なんだよ。


「は、じゃないよ、ブラックくん! 花には何が必要でしょうかって」


ぴっと人差し指を立て、俺の前にずいっと出す。
つーか、そんな簡単な問題なんで出すんだよ。


「水だろ」

「……と?」


あー……
まだ答えろってことか?


「太陽、土」

「正解! さすがシリウス!」


にこりと笑ったその顔に思わず心臓が跳ねた。
こいつ、笑ってれば可愛いと思うんだけどな……。
こうやって唐突に質問とかしなければ。


「……で、花がなんなんだよ」

「花にはその3つが必要ですが、私にも3つあれば生きていけるものがあります。なんでしょうか?」


無視か。
といってもウィーンはへらへらと笑うだけだし、あえて言わない。


「お前が生きていけるもの、か。食料に水分……寝床、か?」

「残念、不正解! 寝床は別にいいの! もうひとつはね……」


そう言って俺の耳元に口を寄せたノエルからの言葉は――


「シリウスからの"愛"だよ」


離れてからまた笑うノエルに思わず顔を隠したくなった。


「お前っ……見かけによらず恥ずかしいこと言うよな……」

「シリウスには言われたくないね!」

「どういう意味だよ」


……まあ、お互い様だよな。
だって俺も……





お前からの愛情があれば生きていけるのだから。





(もう一生離さねぇ)

(シリウスの性格からして心配だけどね)

(お前だけは特別だって)

 

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ