短編【HP】

□耳に届くのは
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ただいまハリーの部屋。
一応、遊びに来たんだけど……
ハリーはさっきからずっと本を読んでいます。
ロンは丁度いないし……。

正直言って暇。
だけどハリーはすごく真剣に本を読んでいるから邪魔もできない。
暇すぎで仕方がないので、浮遊の魔法をいろいろなものに唱える。

えっと……
ひゅーん、ひょい、で……


「ウィンガーディアム・レビオーサ」


ふよふよと羽ペンが浮き出す。
そのまま色々なものを浮かせていると完璧にマスターしてしまった。

再び暇な時間が流れる。

……あ。
そうだ、ハリー、今何しても気づかなさそうだし……
邪魔になる気がするけど色々なことを問いかけてみよう。


「ねえ、ハリー。ハリーはドラコが好き?」

「うん、そうだね」

「…………」


え、本当に気づいてないの……?!
ちょ、ちょっと楽しい……かも……。


「ハ、ハリーは……女装してみたい?」

「うん、そうだね……」


……うぅ……
なんか話聞いてくれてないって実感してさみしいっ……

ちらりとハリーを見ると黙々と本を読んでいる。
堪らなく暇になった私は、ハリーの隣に座り、最後に問いかける。


「ハリー、キスして?」

「はいはい」


彼は一瞬だけ本から目を離し、私と唇を重ねた。
すぐに離れた唇。
それでも私は顔が真っ赤になって、本に目を通しているハリーに叫ぶ。


「ほ……本当にしなくてもっ……!」

「え……っあ、ご、ごめん……」


何故かハリーは謝った。
ハリーの顔も多分私と同じ真っ赤な顔。

き、気づいてなかったんだ……。
でもなんで今に限って話が合うのかなっ……。

二人で黙っていたけれど、ハリーが先に口を開いた。


「……ノエル」

「ハ、リー……?」


ハリーの手が私の頬に滑る。
そしてハリーの顔が再び近づき――





二度目の唇が重なった。





(今度からはちゃんと話を聞くよ)

(う、ううんっ……私が、悪いんだよ……)

(ううん……僕が悪いんだ、ノエルの話、もっと聞きたいよ)

(ハリー……ありがとう)




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