短編【HP】

□癖くらい
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今日の天気、雨。
しかも雷が落ちそうな。

そんな日は皆、魔法の練習やら読書やらおしゃべりやらでとてつもなく暇になる。
その内の一つも当てはまらない私は、ただ自分の部屋からぼんやりと窓の外を見ていた。

風を受けて窓にぶつかる雨粒。
ぱちゃっと潰れた雨粒を、もう何度見たことか。


「……暇」


ぷくっと頬を膨らまし、ずるずると足を引きずらせて気晴らしに部屋から出る。
談話室には何人か生徒がいて、話したり読書をしたり。

……あ、ドラコだ。

いかにも暇そうな顔をしてさっきの私と同じく窓の外を見つめるドラコ。
ちょっといたずらしちゃえ。

静かに静かに近づき、ドラコの背後に回る。
気づかないものだから驚きはしたけれど絶好のチャンスとドラコの目を両手で隠す。


「だーれだ」

「ノエル」


あれ?
声変えたのに即答?!
あ、まさか窓見たんじゃ……。


「ああ、窓にはよく見えていたからな」


私の手を取って自分の目から話すドラコにむっとする。
それなら後ろ向いてくれれば良かったのにー。


「……それに」

「……?」

「お前は足をひきずって歩く癖があるからな」

「え……っ」


だ、誰も知らないと思ってたのに……!


「それくらい分かるに決まっているだろう」

「な、なんで?」





「好きな奴の癖くらいわからなくてどうする?」





(で、でも私……ドラコの癖わかんな……っ!)

(ほう、お前は僕が好きなのか)

(――っ! ドラコの馬鹿っ……)




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