多ジャンル小説置き場

□詮索するな
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「にーしーくーん!」
「うぜぇ」

チャイムが鳴ると同時に自分の教室からダッシュし、彼の教室に行く。
飛び付くと西くんが前のめりになり、舌打ちをされながら引き剥がされた。
教室の騒がしい空気が一転する。

「ねーねー、西くん! 今日は何されたの? 教科書捨てられた? あっ、机とか捨てられた!?」
「お前、黙れ」
「えー本当なんだー。ぷぷ、西くんかっこいいのにダサ――」

バンッ

「……すみませんでした」

ちょっと西くん!?
顔すれすれ!
シャーペンは痛い!
ちょっと掠めたもん!
逆に痛い!

「でもさー、西くんってかっこいいのにさーなんでイジメられてんの?」
「気にくわねーんじゃね」
「あ、目付き悪いもんね。あと喋ると正論だけどムカってきたりとか。慣れたけどね。あとあれだよね、目付き悪――」
「もう一回投げられたいわけ?」
「すみませんでした」

もう、西くんたら冗談通じない!

「西くんてば、私のこと嫌いでしょ」
「少なくとも、この中にいるやつよりはマシ」
「私も西くんが好き」
「勝手に言ってろ」
「酷い!」
「……でも、確かにお前みたいにのうのうと言うやつの方が楽。お前も愚民だけどな」

結局は同じじゃないですか。
相変わらず素直じゃないなぁ。
ふふ、と一人で笑うと西くんに「気持ち悪い」と言われた。

「西くんがなんと言おうと、私は西くんが好きだよ」
「……勝手に言ってろ」
「勝手に言っとく―。ねえねえ、そこの女子二人。私西くんが好きなん――」
「……カッター投げてもいーんだな」
「ごめんなさい」






でもそんな西くんが好きです。






(鬱陶し……)
(西くん西くんっ)
(……犬かよ)

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