多ジャンル小説置き場

□疎ましい思春期
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「西くんのばーか! 星人に殺られてさっさと死んじゃえ!」
「一回死んでんのに意味ねーだろ。脳ミソ花畑女」
「まあまあ、二人とも……。仲良くしなきゃ駄目だろ」

「玄野さん、私は仲良くする義理なんてありません!」
「大体、俺は誰とも馴れ合うつもりはねーし」

むかつく!
本当にむかつく!
西くんの馬鹿! 悪趣味!
最初は、同じ年だから仲良くなれると思ったのに、そんなことさえできずにこうですよ。
ていうか、星人達と戦うことからして"仲良くする"なんて思えないんですけどね。

「お前が俺の点数取んのが悪いんだろ」
「小学生みたいな言い訳やめてくれる!? 馬ー鹿!」
「……お前、さっきから馬鹿馬鹿ってうるせーんだよ。その金切り声なんとかしろ。いっそ口縫え」
「西くんに言われたくないんですけど。ていうか地声なんですけど」
「そんな地声で生まれてきて可哀想だな」

そんな哀れみの目で見ないで!
西くんといえども悲しくなる!
あれ、ちょっと、玄野さんもなんかつられてそんな目で見ないでください。
よく考えたら金切り声ってそんなに嫌なことじゃないですよ!

「とりあえずさ、二人とも。もう星人は倒したんだしいいじゃん、ね?」
「そんなことじゃ片付けられませんよ。こんないちゃもんつけられて黙ってられるかってんです。第一、取ったもん勝ちでしょう」
「はぁ? お前、今度から俺の狙ってるやつ倒したらお前を殺すからな」
「上等! 殺される前に殺すよ」

お互いXガンを構えてにらみ合う。
怖くないけど、西くんのことだから今にでも打ってくるんじゃないかとハラハラする。
こんなのじゃ、まだまだ駄目か。
先にXガンを下ろし、床に置く。
――と、その瞬間。

「ぎょーん」
「は……?」

西くんがこちらにXガンを向け、呟く。
なに今の可愛い。
じゃなくて、可愛いなんて思ってないし、馬っ鹿じゃないのとか思ってたし!

「お前、今撃たれたからな」
「い、意味わかんない」
「……だから」

西くんがXガンを降ろす。
言葉の続きは!?






「お前が星人に殺されたら、ソッコー殺す」






(なっ……)
(意味わかんねーのかよ)
(わ、わかるし! に、にに西くんにそんなこと言われたく、ないし……!)
(……あっそ)

((西くんの馬鹿……!))

((思春期って、結構うぜー))

(なあ、計ちゃん。見たか? 今の)
(あいつら、思春期だなぁ……)
(うん……素直じゃないなぁ)



結局は両想い。
二人ともツンツン。

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