多ジャンル小説置き場

□だって俺たち、
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今更気づくなんて、どうかしてる。
いつも、なんだかんだ一緒に過ごした友達。
特に、一番の親友のカイルは俺にとっては特別だった。
何をするにも一緒だし、何も言わなくてもわかりあえたし、ピンチのときは助け合った。
いつも隣にいるのが当たり前で、これからもずっと関係は変わらないんだって思ってた。
四人で馬鹿やって、カイルと二人でカートマンをからかったり、バスケしたり世界を救ったりヒーローごっこをしたり。
大人になったら一緒に旅に出たり、また馬鹿やって怒られたり、爺さんになっても看取ってやりたいと、そんな馬鹿なことを思い描いていた。
けど、そんなのは俺だけだったみたいだ。

「カイル、今日俺んちで遊ばないか?」
「あー、ごめん、スタン。今日はカートマンがゲーム買ったっていう自慢を聞きに行かなきゃいけないんだよ」
「……そっか」

なんだよ、前まで「お断りだよでかっちり」なんて言ってたのにさ。
それに、なんで顔が赤いんだよ。
なに楽しそうに話してるんだよ。
俺も誘えよ馬鹿。

「おい、ユダヤ! 早くしろよ、オイラ早くやりたくてたまんねーんだよ!」
「はいはい、うるさいぞでかっちり」
「でかっちりって言うんじゃねえよ!」
「じゃあ、また明日ね、スタン!」
「ああ、またな」

うずうずするカートマンへ駆け寄って、二人仲良く帰っていく。
いつもは必ず俺と帰ってたのに。
こんなに簡単に連れ去られるなんて。
親友が側にいないって、なんてさみしいんだろう。
側にいないだけで、こんなに無気力になるなんて。
……カイルのあの顔。
嫌々なのに、どこか顔は笑ってた。
カートマンもいつもとは違って悪口は少なくて、本当にゲームの話ばかりだ。
時々、お互いが嫌いあっていることを忘れて親友みたいに。

「……あー、もう」

ごん、と机に頭をぶつける。
なんだ、このモヤモヤした感じ。
ウェンディがカイルと仲良さそうにしてたときと同じ感じ。
あんな思い、もうごめんなのにな。
……そうだ、ごめんなんだよ。

「……帰ろ」

がたん、と席を立って周りをみると、いつの間にか俺だけだった。
皆、帰るのは早いからな。
今日何度目かのため息を吐き出し、オレンジ色に包まれつつある教室に背を向けたときだった。

「あれ、スタン。まだいたの」
「……カイル? お前、何してんだよ」
「んー、ちょっと、予習用のノート忘れちゃって。これじゃないとやる気出ないんだよねー」

カイルが自分の机の横にかけられた鞄から一冊のノートを取り出す。
ほらね、と俺に見せるカイルは本当に笑っていて。
心臓が潰される感覚がした。

「……カイル」
「なに? スタン」
「お前、最近カートマンと仲が良いよな」
「……え」

カイルの顔が、赤くなった気がした。
夕日で定かではないけど、表情がすごく驚いていて口元をひくつかせて。
その顔に、無性に腹が立って。

「なんだよ、あのでかっちりとなんで仲良くなったんだよ。いつも俺に愚痴言ってたのに最近じゃ全然聞かないしさ、一緒に帰ったり楽しそうじゃん。お前、あのデブのどこがいいんだ?」
「……ッスタン」

大きな声で名前を呼ばれる。
俺の頭は至って冷静で、カイルがなんで声を荒げているのかわからなかった。
なんだよ、と返すとカイルは俺を睨みつける。
なんだよその目。
今まで俺にそんな目したことなかっただろ。
喧嘩したときだってそんな目はみたことない。
なあ、どうしたんだよカイル。

「確かに、あいつはデブだしいいとこないし僕の悪口ばっかりだし馬鹿だしむかつくけど……自分のやりたいことは全力でやり通すしそれが無茶なときだってあるけど、あいつは自信たっぷりですっごくむかつくけど、それに流されるくらい、あいつは行動力がある。例え、あとで後悔してもね。……だから、僕の親友には、わかってほしい。あいつ、意外といいやつだよ」
「……なに、言ってんだよ」

カイルがあいつを弁解するなんて。
どうしたんだよ、あいつに何か言われたのか?
あいつに何された?
あいつに何を刷り込まれた?

「スタンなら、わかってくれるでしょ? だって僕達、SBFだもの」
「……わかんない」
「……スタン」
「わかんないよ、カイル。俺、お前の親友なのに最近のお前がわかんない。カートマンと仲良くしたり、急にそんなこと言い出してさ。なんでだよ、いつも俺と一緒だったろ? なんでカートマンに……っ」
「スタン? 僕の親友はスタンだよ、今でも変わらないよ。当たり前だろ?」

違う。違う、そうじゃない。
カートマンにこんなこと思うなんて俺、どうかしてる。
でも俺、お前をカートマンに取られたら何にもできなくなる。
ああ、そうか。
俺の世界、お前と回ってるんだよ。
お前がいなきゃ、俺の世界は崩壊するんだ。

「カイル、カイル」
「なに? スタン」
「カイル、俺、お前がいなきゃ駄目なんだよ。なんにもできない。お前と一緒じゃなきゃ生きててもつまんないよ。だから、俺から離れないで」
「スタ、ン」

そうだよ、一緒にいてくれなきゃつまんない。
だから、俺たちはずっと一緒にいるんだ。
俺がこんなに困ってるんだから、お前が放っておけるわけないよな。
だって俺たち。






「SBFだろ?」






(俺と一緒に世界を回してくれよ)







エリカイ←スタ みたいな……。
うーん、最初は切ない+ギャグ+ちょい甘って感じだったのですが……どうしてこうなった……。
あっ、エリカイは付き合ってます!!!()
でもスタンには秘密だからこんな事態に。
カイルが「親友にゲイだなんて思われたくない!」ってなってると可愛い。
それを知ってスタンがもやもやしてこんな結末になる。
エリカイ←スタはスタンがヤンデレっぽくなりますね。
「親友取られる、嫌だ、ずっと一緒にいるよな、だって俺たちSBFだろ?」っていう、カイルのことが好きだって自覚していないと可愛いと思います。
無自覚ヤンデレ!!
このあとカイルは「スタン大丈夫かな、僕がいないとダメなのかな、いつも一緒にいたのによく考えれば最近あんまり一緒にいない気がする。さみしかったのかな、そうだよな。僕もスタンがウェンディやケニーとばかりいたり、転校生に取られたりしたらさみしいもんな。カートマンとケニーとゲームしてるのも楽しいけどやっぱりSBFといるともっと楽しいし、ごめんな、スタン」って色々考えると思います。
スタンはカイルに甘くて、カイルは結構現実主義。
スタンにもちょっと甘い。
だからスタンがヤンデレっぽくなってるのは分からないしそうしてるのが自分かも分からない。
カートマンに「最近のスタン、お前にくっつきすぎじゃねえか?」って言われても「そうかな?」ってなってる。
周りから見ればスタンの気持ちは一目瞭然でちょっと狂ってるっていうのもわかるけど当人たちは全くわからない。
なぜならSBFだから!

勢い任せに書いたのでぐたぐだですがサウスパーク大好きです。
長々とすみません_(:3 」∠)_
エリカイくれ……。

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