短編【HP】

□好き、って言って
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「あの、ね」
「ふふ、なあに、ネビル」

ベンチで体を少し捻って座る隣の彼女がにこにこと笑って僕を見ている。
艶やかな夜色の髪に目を奪われそうになるけれど、まじまじと見るのは恥ずかしいのでやめておく。
ただ笑って僕を見ている彼女と対象的に、僕は"あ"だとか"う"だとか言葉に詰まってしまって中々切り出せない。
逃げ出したくなるけれど、彼女にがっちりと手を掴まれてしまっていて叶わなかった。
僕が掴んでいてくれと言ったのだから仕方ないけど、すごく後悔している。
彼女も、僕が今から言うことを楽しみにしているのだから協力しないわけがない。
ああ、もう。さっと言えばいいことだろ、なんで言えないのかな。

「えっ、と……」
「うん」

ちらりと彼女を見ると、すごくいい笑顔。
こんな顔を見たら、"やめよう"なんて切り出せない。
中々言わない僕のことを彼女はゆっくりと待ってくれているんだし。
それに、こういうことはきちんと言いたいし、頑張らなきゃいけないのは分かっている。
でも、一度口籠ってしまうと言うタイミングを綺麗になくしてしまうのだ。
その状態に陥ってる僕はどうすればいいんだろう。

「あー……えっと、ね、その」
「うんうん」
「うー……あー」
「うん」
「……ほんとに言わなきゃ、駄目かな?」

今から言うことと同じくらい言いにくいことを言ってしまった。
何も聞こえないのが恐ろしくて、恐々と顔を伺うと、眉を下げて俯いている姿。
落ち込んでる、と察して顔を上げて行き場のない手を空で泳がせる。

「あっ、えっと……!」
「……ネビルは、言いたくないの?」
「ち、違うよ! す、すごく言いたい、けど……やっぱり恥ずかしくって。それに、タイミングっていうのも大切だから、どこで言えばいいのか分からなくて」
「……タイミングがあれば言える?」
「う、うん。多分……」

首を傾げた彼女は、僕の返事を聞くと顔を輝かせた。
繋がれている手を一層強く握るとまた眩しいくらいの笑顔で僕に言葉を向ける。

「私、ネビルのことがだーいすきよ。宇宙よりも、銀河よりももーっと大きな規模で大好き」

恥ずかしげもなく送られる言葉に僕の方が耐えられない。
けど、とっても嬉しくて、彼女の手をぎゅっと握り返しながら、俯いて彼女の瞳を覗き込みながら僕も言葉を送る。






「ぼ、僕も、ノエルが大好き、だよ」






(やっと言えたね、ネビル)
(う、うん……)
((僕がリードできるようにならなくちゃ……))

(あいつら校庭でいちゃついてる)
(あの二人、お似合いだもの)
(君たちだっていつも痴話喧嘩してるじゃないか)
((ハリー!))






いつかやってみたかったネビル……!
映画版しかまだ見ていませんが、ネビルがいつも不運に見舞われるのが可愛くて仕方ありません。
でも、最後には活躍してかっこよかった……!
映画のみの設定ですがルーナと幸せになって欲しかったなあ_(:3 」∠)_

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