いち

□万有引力の法則
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「こんな問題も解けねーのかよ!」




夏の暑い夜、私の部屋に不機嫌な叫び声がこだました。















あら、怒っちゃった。

こんなことも解らない私に呆れてしまったのか、隼人は溜め息を吐いた。

「だーかーらー、万有引力の法則ってのは、宇宙にある物と物の間には引力が働くことなんだよ!」

「じゃあなんで地球と太陽はぶつかったりくっついたりしないの?」

隼人はとても面倒臭そうな表情をしてこう答えた。

「ったく、そんなわけねーだろ!よく考えてみろ。地球は太陽の周りを『回ってる』だろ……回転運動の……んで、遠心力が働いて……………」

こうなったら、くどくどした隼人の説明はもはやBGMだ。
回転運動だとか遠心力だとか、私にとってはとても難しい。
隼人の説明そっちのけで、さっきまで二人で見ていた星空を想った。
くっつく事が無理なら、織姫と彦星は現実的には決して出会うことなんて出来ないのだなぁとか、下らない事を考えていた。

「だから、軌道がずれねー限りくっつかねぇんだよ。もうこれ以上は説明しねぇからな!」

「うん、」

私は生返事をした。
ホントにわかったのかよ、と隼人が私の顔を覗き込んできたその瞬間、私は良い事を思い付いた。

「近付きすぎよ、軌道がズレちゃったじゃない。」

そう言って、私は隼人に口付けた。

目の前には、真っ赤になった隼人が目をぱちくりさせている。

そして、もう一度、今度は隼人から優しい口付けを貰う。

あぁ、織姫と彦星に嫉妬されちゃうな、なんて思いながら、私は目蓋を閉じた。






(おしまい)

原作はきっと…高校にはいかないんだろう…な…

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