いち

□川辺にて。翳る太陽。
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陽が下ちてきて薄暗くなった下駄箱に、彼は立っていた。

「あ…雲雀くん。今から帰るの?」

私がそう問いかけると、彼はぶっきらぼうに、

「そうだけど。」

と答えた。

彼はいつも一人だ。それにあまり表情を変えないし、馴染もうともしないので、周囲からは敬遠されている。

でも、私は知っている。
彼がとても優しい人だということを。

ある日の帰り、川辺で見掛けた彼は、とても穏やかで優しい表情をしていた。その時から、私は彼が気になって仕方がない。

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