06/20の日記

02:23
じゃれあい会話(ユリレ+α
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 翳されたのは光を照り返して輝く鎖と鎖の先の小さな何か。

「何コレどったの?」
「安かったんだよ」
「嘘おっしゃい。素材は鉄――っぽいけど違うわね、銀でもないし…分かんねぇわ。彫りは細かいし断面の加工も丁寧だし…綺麗な羽根の形のペンダントね」
「詳しいのか、そういうの?」
「まぁ少しは。さて、正直にいこうぜ青年、…高かったっしょ?」
「…………まぁ、それなりには」
「……ていっ」
「ってぇ!」
「なぁにが、まぁそれなりには、よ! 正直に値段吐きなさい!」
「別に値段言えたぁ言ってねぇだろ、デコピンくらい良いけどしっぺは駄目だ!」
「っあたぁ! ちょ、だからっておっさんがしっぺ返される理由が分かんねーんだけど!?」
「あーもう、おっさんウゼぇ」
「う、ウザいって何よ青年理不尽っ!おっさんは家計の心配をしてだな――」
「ちょくちょく飲みに行く奴が家計だとか語るなっつの」
「あいたぁっ、ちょ、二回目!? この人でなしっ!」
「ろくでなしの穀潰しが何か言ってるな、聞こえないけど」
「い、異議ありっ! 青年はおっさんの人権を無視――」
「異議は認められません根拠の無い発言は控えなさい」
「根拠の無い発言…ってひっどいわね、さっきのは明らかにー、えっとー…、……?」
「……文句あんならせめて順序立てて言えよってんだ」
「うぅ、もういいわ。…お金無くてここんとこ野宿だったじゃない、なのに」
「ああ、今日はちゃんと宿取ったぜ」
「マジで?」
「まじまじ」
「やったぁ、やっとふかふかのお布団で寝れ――るけどそうじゃなくてだから金無いのにそんな無理しちゃっ」
「あのさ、おっさん」
「今度は何よっ」
「宿もコレも、俺の貯めてきた金を崩して出したんだけど」
「……マジで?」
「まじまじ」
「…………いや、あの、ごめんなさい」
「ったく。折角帝都寄ったんだからちゃんと休みたいだろ? それでちょっと家からへそくり取ってきた」
「今まで飲んだくれのろくでなしの穀潰しで家計を圧迫してすいませんでした」
「よしちゃんと謝れたな」
「うぅ…頭撫でないでくんない、情けなくて涙出そう」
「アンタが情けないのなんて今更だろ」
「…ごもっともでごぜーます」
「拗ねんな面倒臭い。ほら、皆先に宿行ってるからアンタも」
「はいよ…って、ふぇ?」
「ちょっとじっとしてな」
「っせぇねん近いわよ、ちょ、こんな往来で何す――あら?」
「これでよしっと」
「な、なに……」
「何されると思った?」
「っ!」
「ははっ、茹でダコみてぇ!」
「ひ、ひでぇっ!……ってゆかユーリこれ、」
「アンタにプレゼント」
「い、良いの? つかなんでいきなりそんな、ぷ、プレゼントとか…着けてくれたりとか……」
「いや、まぁ…たまたまだって」
「う、嘘だッ!!」
「いってぇ!」
「へへーっ、デコピンなら良いんでしょ? …いったぁーっ!」
「やり返さないとは言ってねぇ!」
「何それ卑怯者ぉっ」
「お褒めに預かり恐悦至極、と。…要らなかったらちゃんとそう言えよ?」
「も、貰ったげるわよ一応……あの、ありがとね」
「…気に入って貰えたみたいで何よりだよ」
「別にそんなに気に入っては――」
「手、」
「ん?」
「さっきからずっといじってるぜ」
「…触り心地が良いだけよ」
「触り心地を気に入った、と」
「……せ、青年根性悪ぅい」
「お褒めに預かり――」
「ああはいはい、肌触りもデザインも装飾の細かさも気に入ったっての! はい正直に言ったこれで満足かこのぉ!」
「……ああ、うん」
「な、何その驚いたような顔。おっさんだってたまにゃ正直にだな、」
「いや…まぁそんだけ気に入って貰えたんなら満足っていうか、うん」
「……」
「んだよ?」
「……えへへぇ、顔赤いわよ。ユーリかーわいー」
「な…あ、アンタだって赤いじゃねぇか!」
「嘘、マジで?」
「マジマジ…ってさっきからこればっかだな」
「そ、そーね。で、話戻して良い?」
「あ? 何の話してたっけ?」
「はいはい惚けなぁい、いきなりこんなお高いもんくれるなんて何かあったわけ?」
「だから別に何もねぇって」
「正直に言わないとおやつのクレープ青年の分だけ梅干し入れるから」
「なんだその陰湿な嫌がらせは」
「然るべき対処って言い替えるとマイナスイメージ無くなるわよ」
「いや別に結局どっちも内容同じだろ意味無ぇだろ」
「気分的に違うと思うわ」
「対象が俺でなけりゃな……っつか本気で理由なんかねぇんだけど」
「……ぇー、何かやましい事とかしてないのー?」
「つまらなそうな顔すんな」
「ひょ、いひゃいいひゃいほっへはほひふーっ!」
「おー、よく伸びる」
「――っ、痛ぇじゃねーの何すんの馬鹿っ!」
「アンタが変な事言うのが悪い」
「へ?」
「俺、一応アンタへの気持ちは誠実なつもりなんだけど?」
「……あー、うん。ごめんね」
「ん、…………よし、ちゃんと謝れたな」
「へへ…だから撫でられるとおっさん情けなくて涙出ちゃうって」
「嬉しそうに何言ってやがる、ほら」
「ありゃ、手ぇ繋いでくれんの?」
「繋いで欲しそうな顔してんぞ」
「そんな顔ねぇわよ」
「んな事無いって。で、繋ぐんだろ?」
「……うん」
「素直でよろしい」
「素直――そーだ、だから素直に理由をだなぁ」
「無いっつってんだろしつこいおっさんだな、ったく」
「怪しいっつってんでしょ往生際の悪い青年ね、ったく!」
「引く気は無いみたいだな、ここはアレか…!」
「おうともよ…っ!」
「宿に帰ったら、」
「勝負ね、」

「「料理でっ!!」」





「……あ、あのさ。ユーリ、レイヴン」
「なぁに少年」
「何だカロル」
「何だ、じゃないわよ。料理勝負はいい、いいけど何よこれ夕飯にさばみそとクレープだけって!主食はどうしたのよ!?」
「「…………あ」」
「ふふ、食べ合わせ最低ね」
「す、すみませんすみませんっ」
「へ、何でエステルが謝るの?」
「何エステルに謝らせてんのよアンタらっ!!」
「ご、ごめんねリタっち――ぎゃっ!」
「わ、悪いエステル――がっ!」
「きゃああぁっごめんなさいユーリ、レイヴンっ!」
「鳩尾と首筋に一撃ずつ……流石の身のこなしね」
「魔術使ってないのにユーリ達より強いって……」
「気絶すんじゃないっ!!」
ちゅどーん。
「あらあら」
「ぁ、魔術使った…って追い討ち駄目二人共死んじゃうっ!」
「リタやめてぇぇっ!!」

ちゅどーん。





†††


往来云々言ってる割にナチュラルに青年と手を繋ぐおっさん+果てしなくエステル贔屓な最強属性リタ。

ギャグ文にしたいのになりませんすいません…orz




















































  
†††

おまけ。


「聞いて下さいユーリっ」
「ん? どうしたエステル」
「明日は恋人の日らしいですよ!」
「……あー、うん。そうなのか?」
「もうっ、ユーリは下町育ちなんですからそのくらい知ってなきゃ駄目ですよ」
「って言われてもそんなマイナーな日誰も知らねえんじゃ…」
「ユーリとレイヴンは記念日にお祝いしましたか?」
「いきなり話が変わったな…つか記念日って何だ?」
「もうっ、ユーリは下町育ちなんですからそのくらい知ってなきゃ駄目ですよ。付き合いだした日を誕生日みたいにお祝いするんです、恋人同士で。確か去年の今頃でしたよね?」
「(最近の若い奴らはそんな事まで祝うのか)……確か、日付的には先々週――」
「何しました?」
「いや、特にこれといって」
「もうっ、ユーリは下町育ちなんですからそのくらい配慮しなきゃ駄目ですよ!」
「いやもう下町関係ないし」
「それでですね」
「いや人の話はちゃんと聞こうか」
「明日は恋人の日らしいですよ」
「無視かよ。つかそれさっき聞――」
「まぁまぁ!それでですね…ユーリ、記念日代わりに明日何かしたらいいと思うんですけど」
「んー」
「どうでもいい、って反応ですね」
「実際どうでもいいんだよ、おっさんだっていい大人なんだからそんな事したって、」
「別に二人で食事に行ったりとかでも良いんじゃないですか」
「皆で食った方がおっさんは喜ぶと思う」
「……そう、ですね」
「だろ。…まぁ、じゃあ飯以外で一応何か考えとくか」
「プレゼントです?」
「そう。せっかくエステルがあれこれ言ってくれたんだし」
「レイヴン、喜びますよ」
「そう、かねぇ?」
「素直には言わないでしょうけど」
「……ははっ、それは想像できた!」
「でしょう?」





†††

っていう背景。
恋人の日=12日=およそ一週間前\(^o^)/
書き上げ遅くてすいません。

……チタンのお高いアクセサリーが欲しかった。から買えない代わりにおっさんに与えてみた。

記念日云々は高校の時周りの子達が言ってた話をそのまま拝借。



 
 

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