馬超×趙雲 お話

□波乱
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馬超は心配していた。
兵の訓練は終わったはずで、趙雲はとっくに帰ってきていいはずなのだ。
しかし、帰ってこない。
日も暮れて暗くなって来たと言うのに。
そこへ戸を叩く音が聞こえて。
戸を開けると張飛が顔を出した。
珍しい事もあるものである。しいて仲が良い訳では無く普段、付き合いがある訳でも無かった。
ただ、昔、一騎打ちをした事がある。馬超がまだ敵だった頃の話だ。
勝負は付かず、互いの力量は認め合っていた。
張飛は片手を挙げて。
「よう。驚いただろうなぁ。俺が尋ねて来てよ。」
「いや…して何用だ?張飛殿。」
「趙雲を助けてやってくれねぇか。」

馬超は血相を変えて張飛の両腕を掴んで。
「子龍に何かあったのか??」

そう、趙雲は大切な自分の妻。何があっても守ると誓った。趙雲に何かあったらもう自分は生きてはいけない…

張飛は馬超に向かって。
「俺について来い。」
「心得た。」

互いに馬に乗り、馬超は張飛の後を追いかける。
張飛の後を付いて行ってしばらく走れば、街中から人気のない道に出て。
ぽつんと灯る小さな屋敷の灯り。
その近くまで来ると張飛は馬から下りる。馬超も馬から下りて。

「趙雲はあの中にいる。俺だってお前さんに知らせるなんぞ裏切りをしたくはねぇんだ。だがあまりにも趙雲が可哀相でよ。決着はお前がつけろ。俺が出来る事はここまでだ。」
張飛の言葉に馬超は。
「解った…あの男が帰ってきたんだな。」

そう、張飛が裏切りたくないと言う相手ならば、きっとあの男に違いない。
趙雲はあの男の過去の仕打ちに苦しんでいた。
馬超は自らの武器、龍騎尖を握り締めると、その小さな屋敷へと近づき、その庭に踏み込んだ。

数人の男達が手に手に得物を持って飛び出てきて。
馬超は声高く名乗りを上げる。
「俺は馬超。字は孟起。妻の趙雲がそこに居るのだろう。返して貰いに来た。子龍は俺の愛しい妻だ。出てくるがいい。関羽。叩き切ってやる。」

しばらくすると、関羽が扉を開けて顔を出した。
手には黄龍偃月刀を持っている。
「ふん。お前が噂の馬超か。こざかしい。わしの趙雲に手を出しよって。わしの方こそ叩き切ってやろうと、わざわざ荊州からやって来たのだ。覚悟するがよい。」
二人は互いに睨み合う。
月がそんな二人を冷たく照らしていて。


馬超が飛びかかった。関羽がブンと黄龍偃月刀を振るう。その風圧に吹き飛ばされそうになりながらも、馬超はかろうじて受け止めた。
「くっ…重い。」
関羽が黄龍偃月刀を振り回し、馬超を追いつめて行く。
「無双奥義を繰り出してやろうか。ひとたまりもあるまい。」
「俺は…負けぬ。」

その時である。趙雲が屋敷の扉からふらふらと飛び出てきて。
身には一糸も纏っていなかった。
関羽にさんざん注がれたのであろう。
趙雲の引き締まった尻や腿は精や血で汚れていて。

「私は二度と孟起の下へは戻りません。仕えますから。関羽殿に一生、仕えますから…どうか孟起を殺さないで。」
関羽に縋る趙雲。
馬超は趙雲に向かって叫ぶ。

「お前に庇われて俺が喜ぶと思うか。この男から逃げたいのだろうっ。俺と共に居て幸せだったのだろう。だったら俺と来い。俺は負けぬ。」

「関羽殿は強いのです。いくら孟起が強いと言ったってかなわない。」
とう言うと、趙雲は関羽にしがみついた。
「どうかこの場で私を犯して下さい。関羽殿の物であると言う事を孟起に見せつけて下さいませんか。」
「良かろう。良く見るがよい。」

趙雲の身を軽々持ち上げる。
関羽は岩に腰掛けると、趙雲の身を反転させて馬超の方にその身体を向けさせ。
自分に腰掛けさせる形で趙雲を抱き上げると、そそりたつ赤黒い太い一物を取り出して趙雲の蕾に押し当てる。ズブズブと趙雲の両足を抱え上げ、馬超の目の前で突っ込み始めた。

「子龍っーーーー。」

馬超は拳を握り締めた。
今の自分の実力では関羽に勝てない。
かといってこのまま愛しい趙雲が関羽の物になるのを見ていて良いのであろうか。

趙雲は涙を流していた。
月に照らされたその白い身体は悲しくなる位、綺麗で。
関羽の太い一物に深々と貫かれて、悲鳴を上げるも、関羽に冷たく一言。
「声をあげるのは好かぬ。しばらく会わぬうちにこらえ性が無くなったわ。」
ぐっと声を押し殺す趙雲。

馬超は耐えられなかった。
思いっきり走ると、横から体当たりを喰らわせる。
趙雲は関羽から投げ出され、地に転がった。

関羽は周りの配下達に。
「殺せ。馬超は強い。だがお前たち6人がかりならば、倒せよう。わしはこいつを馬超の目の前で犯し続けてやるわ。」
趙雲の髪を引っ張り関羽は引き起こす。
馬超は龍騎尖を手に持ち、関羽に飛びかかるも、6人の配下達に阻止されて。
馬超は叫ぶ。
「お前ら。通せ。俺は関羽を叩き切る。」
男達は馬超に向かって。
「お通し出来ませぬな。我々が相手を致しましょう。馬将軍。我が主は殺しても良いとおっしゃております。死んで貰いましょうか。」


その時である。張飛が破軍蛇矛を片手に現れて。
「兄者。趙雲を馬超に返してやってくれねぇか。」
「翼徳。趙雲は元々はわしの物だ。お前の口出しする事じゃない。」
四つん這いにさせた趙雲の尻を掴み、血と精で汚れた蕾に一物をぐぐっと突っ込む関羽。趙雲は俯いてその痛みに耐えているようであり。
張飛は関羽に近づいて。
「馬超と問題を起こして、迷惑をかけるのは我が殿、玄徳兄者じゃねぇのか?五虎将の名は他にも響いている。ここで馬超を殺して、趙雲を使い物に出来なくなるっていうのは蜀に取って大きな戦力の欠落に繋がるんじゃねぇかと。後なぁ。こっそりと荊州を留守にしてここに来たことがばれたら、マズイんじゃねぇのか。兄者怒るぞぉ。」

関羽は趙雲を突き放すと、ちぃと舌打ちして。
「兄者を怒らせるのはマズい。今宵は返してやるわ。馬超、覚悟しておけ。時が来たら必ず趙雲はわしの手に取り戻してやる。」
馬超は趙雲に近づくとその身を抱き締めて。
「子龍は俺の妻だ。二度と貴様になんぞ渡さぬ。」

趙雲に自分が鎧の下に着込んで居た着物を羽織らせると馬に乗せて。
馬超は張飛に礼を言う。
「助けて貰ってかたじけない。」
張飛は照れくさそうに笑って。
「我慢できなかったまでよ。早く連れ帰ってやれ。」
「ああ。そうさせて貰おう。」

自分の屋敷に趙雲と共に戻ってきた馬超。
傷つき疲れ切った趙雲を風呂場に連れて行って、自らも裸になり関羽の精に汚れた身体を湯で洗ってやる。
趙雲は馬超に大人しく洗われながらも俯いていて。
馬超は黙々と趙雲の身体を洗っていたが、ふいに趙雲の目の前に回ると、頭を下げて。
「すまなかった。子龍。俺の力不足から…張飛殿がいなかったらお前を助ける事すら出来ずに。俺はお前の夫だ。だが夫としての資格すら…ふがいない。ふがいなさすぎて悔しい。」
涙を流す馬超。
悔しかった。関羽が好き勝手に自分の愛しい趙雲を犯すのを止める事が出来なかった。
そんな自分が悔しかった。

趙雲は首を振って。
「私こそ、貴方の妻でいる資格は無いのです。こんなに汚れた身体で…ああ…貴方の妻になれて幸せでした。でももう…」
馬超は趙雲を抱き締めて。
「傍に居てくれ。もっともっと俺は強くなる。お前をあの男から守れる位に。だから傍に居てくれ。頼むっ。子龍っ…」
趙雲は立ち上がる。
「ここを出て行きます。私が関羽殿の所へ行けばいい。そうすれば、孟起の命は助かる。そうでしょう?」

「お前に助けられて…お前を関羽に渡す位なら…俺は…」

馬超は風呂場の外へ出ると、短刀を手に持ち、戻ってきてその刃先を自らの首に押し当てる。
「孟起っ。」
「ここで命を…頼む。俺はお前に幸せになって貰いたいのだ。」

趙雲は馬超の手を握り締め、その短刀を首から離させて。
「孟起…馬鹿だ…私の為に…私なんかの為に…」
泣く趙雲に馬超は。
「お前は俺の妻だ。大切な俺の…」


二人は風呂場から出ると、裸のまま寝台に身を寄せ合って。
馬超は趙雲の髪を優しく撫でながら。
「傷…痛むだろう…薬持ってこようか。」
「慣れています…このような傷…今はただ、孟起の傍に居たい。」
「それじゃ眠るがいい。ずっと傍についているから。お前を抱き締めているから…」

馬超は瞼を瞑り眠る趙雲を見つめながら強く思った。
もっともっと力を付けて、今度こそ子龍を守ってみせる。

自分は趙雲の夫なのだ。
愛する妻を守れなくて何が夫だ。夫の尊厳だ。

疲れが馬超にも襲ってきた。
趙雲を抱き締めて眠りに落ちる馬超であった。

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