伏犠×左近 お話

□左近の夜這い
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左近と別れてからの伏犠は佐和山を出る事も出来ずに、城のすぐ近くの農村に小さな庵を構えて暮らす事にした。
昼間は畑を耕す農民の手伝いをし、鍬を持って汗だくになって大地を耕す。
遠呂智によって世界が歪められた事により荒れてしまった大地も多々あって三成によって与えられた土地の全てが畑に出来る訳でも無い。それでも佐和山の地で暮らそうと思った農民達は日の暮れるまで働いて。
伏犠は鎧を脱ぎ捨てボロを着て、泥だらけになって働く毎日が辛いが楽しく感じられて仕方がなかった。
左近が好きで離れられなくて佐和山に居るのに、こうして働いて汗を流し左近を忘れたいという気持ちや日が経つにつれてあれは過去の美しい夢だったとあきらめる気持ちも出てきて。

左近の屋敷に居た時にからかいに来ていた子供達と日の暮れる頃になると、僅かの時だけ遊ぶ。川で水に飛び込んで汗を流したり、共に歌を歌って家路についたり。
庵に着く頃にはすっかり身体も疲れ切って、夕飯を食べると狭い部屋の中央の布団の上で大の字になって伏犠は眠りにつく毎日であった。

とある激しい雨の降る夜の事である。
疲れ切った伏犠はぐっすりと眠りについていた。
上は裸で下履きだけを履いた姿で。掛け布団ははだけて大の字で気持ちよく眠っていると、とある気配に目を見開いた。

− 誰か居る… −

そう誰か居るのだ。
暗闇の中に誰かが居る。
ガサモソとその人物は何をやっているのか、衣を脱ぐような音がしてしばらくすると、ゆっくりと伏犠に向かって近づいて来るようだった。

敵かとも思った。しかし敵意がまるで感じられなくて。
その人物は伏犠に近づくといきなり覆い被さってきた。
何か叫ぼうとして唇をふさがれる。唇を強引に割って舌を入れてくる。
激しく自分の舌を貪られるような口づけに伏犠が思わず手を伸ばしてその人物の髪らしき物を掴めば意外に髪が長く…そしてその気配は自分が良く知る気配…匂い…手触りであり。

「さ、左近っ」
と一声叫んだだけで、再び唇をふさがれた。

再び舌を押し入れて激しい口づけをしてくる左近に伏犠はやっと左近の肩を押して自分の唇から引き離して。
「どうしたのじゃ?左近…」
左近は耳元に唇を近づけると囁くように。
「夜這いしに来たんですよ。」
「夜這いしにってお主…」
「だって伏犠さん。もっと遠くに行けるはずなのにここに居るのは何でです?俺を忘れられないからでしょ…」
左近の自分の身体に触れるその身体は何も纏ってはおらず、裸のようで。
ただ雨に濡れて来たのかその肌は冷たい。髪も濡れて居て。
伏犠は自分にのしかかる左近を抱き寄せその冷えた身体を温めるように背をさすりながら。
「ああ。最初はそうじゃった。だが今はもう…お主の事はあきらめておった。もう二度と会うつもりも無かった。」
「伏犠さんっ…」
左近は伏犠を責めるように。
「だったら、俺の目の届かない遠くに行っちまって下さいよ。こんな城と目と鼻の先に居ないで下さいませんかね。俺は会いたくて仕方が無かった。別れたのに忘れることが出来なかった…」
「お主は三成との仕事を取ったのじゃろう?わしはお主の邪魔はせぬ。」

左近が伏犠の上に跨って首に両手をかけてきた。軽く力を込めてくるのに伏犠は暗闇の中、目を見開く。
表情は良く見えないが熱い物が頬にぽたりと落ちてくるのが感じられて。
「泣いておるのか?左近…」
「もう離さない…離したくないですよ…」
「わしを殺すのか?」
左近は首から手を離して。
「俺が悪かった事は認めますよ。伏犠さんを放って置いて仕事を取った。一緒に暮らそうって誘ったのは俺なのに…」
「左近はどうしたいのじゃ…」
「俺は伏犠さんと暮らしたい。せめて床だけは共にしたい。」

伏犠は左近に向かって断固とした口調で。
「わしはここに居る。いつでも通ってくるがいい。」
「伏犠さん。」
「嬉しいぞ。あきらめていたお主が戻ってきてくれた。佐和山を出ないで良かったわ。」
そう言うと左近の尻に両手をかけてぐっと押し開く。
左近は慌てたように。
「ってさっそく俺が欲しいんですかね?」
「久しぶりじゃ…わしはお主が欲しい。」
「いいですよ…久しぶりにヤりましょ…その為に夜這いしてきたんですから。」

左近の手が伏犠の下履きの合わせ目に手を忍ばせて中の一物を取り出し、うっとりとしたような声で。
「ああ…俺の手の中で脈打って…俺は伏犠さんの大筒好きですよ…」
ゆっくりと手で擦り始めれば伏犠は左近に向かって。
「お主の尻を慣らさねばなるまい。」
「自分で慣らしますから…」
伏犠の一物から手を離し片手をついて腰を浮かし、自らの蕾を弄くりだす左近。
拡げるようにグチュグチュと指を中で動かして。
暗闇の中で響くその音にいやおう無しでも伏犠の一物は硬く逞しく勃ち上がり。
「わしの方は準備万端じゃ。」
「それじゃ俺が伏犠さんの上に跨りますんで。」
左近は伏犠の一物を掴むと、自らの蕾に押し当ててズブズブと体重をかけて入れていけば、あまりの締め付けの良さに伏犠はウウムと唸り。
「相変わらず良い孔よのう…」
「あっ…んっ…変な言い方しないで下さいませんかね。左近は恥ずかしいですよ。」
ズチュっと深々と左近が腰を下ろし伏犠の一物がその再奥を貫けば、ひぃっと左近が叫ぶのが闇に聞こえて。
中はヒクヒクとヒクついており伏犠の一物をヤワヤワと締め付けてくる。
「もうたまらぬわ。しかしこれだけの刺激じゃ足らぬ。」
身を起こすと左近の腰をぐっと掴み、激しく上下して動かせば、左近は悲鳴を上げながらも甘く喘いで。
「ひぃっ…あっ…ああっ…んっ…伏犠さんっ…ああっ…」
「気持ちよいじゃろう?わしも気持ちいいぞ。」
「ハァハァ…二度と俺を離さないでくれませんかね…」
「左近…」
「俺は辛かった…んっ…辛かったんですよ…伏犠さんと離れていた間…」
左近の腰を落とし、深々と貫くと悲鳴をあげる左近の耳を噛んで、伏犠も囁く。
「わしも辛かったぞ。左近。」
「そう言って貰って嬉しいですよ…今はこうして伏犠さんと再び繋がる事が出来る。ああ…伏犠さん…好きです…」
伏犠も左近の唇に唇を寄せ優しく口づけをして。
「わしも今は幸せじゃ…左近…二度と離すまいぞ。」
ゆさゆさと揺らし左近の中を細かく掻き混ぜて、再び腰を持ち上げ勢いよく落とし深々と貫くと熱い精を左近の中に放つ伏犠。
左近は身を震わせながらその精を受け止めて。
自らの一物からも少量の精を吐き出す。

腹にかかったその精を指先で取り伏犠は呟いた。
「少ないのう…会わなかった割には。」
左近は伏犠の身体にしがみつきながら。
「身体は仕事で疲れているのに、慰めて居たんですよ…毎夜、伏犠さんを想って…」
「淫らな身体じゃのう…左近の身体は…」
「火を点けたのは伏犠さんでしょ…忘れていたのに…遠い昔に火のついた身体を忘れかけていた火を再び点けたのは…」
「まぁ良いわ。わしはお主の身体も心も好きじゃ…お主が好きなのはわしの身体だけかのう…」
伏犠が問えば左近は。
「心も好きに決まっているじゃないですか。伏犠さんが忘れられないからこうして忍んできたんです。身体だけだったら他でも事足りる…俺は伏犠さんと繋がりたい。こうして傍に居て胸の鼓動を感じて居たい…」
繋がったまま左近は伏犠の肩にもたれかかり瞼を瞑る。左近の髪を撫でながら伏犠は幸せに浸って居た。


この幸せを手放したくない。
再び手にした左近の温もりを感じながらそう強く思う伏犠であった。

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