太公望×趙雲 お話

□溺れたい
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趙雲は馬に乗り、成都周辺を見回っていた。復活した遠呂智を倒したとはいえ、まだまだ小競り合いの続く世の中。用心するに超したことはない。

ふと川辺に馬を進めると、釣り糸を垂れて釣りをしている見慣れた人物を見つけて。

− 何故、あの方がこのような所に居るのだろう? −

馬を下りると趙雲はその人物に背後から声をかける。
「太公望殿。」
「劉備将軍の所に居る人の子か…」
太公望は振り向きもせず、趙雲に差したる関心も持っておらぬようで。

趙雲は近づくと太公望の隣に行き、腰をかけ。
「何か釣れますか?」
「釣りが目的では無い。」
「失礼しました。考え事の邪魔をしてしまったようです。」

ヒュンと音をさせて釣り竿を振り、糸を引き上げると、太公望は立ち上がって。
「人の子に溺れる…私は伏犠の気持ちが良く解らぬ。確かに人の子はありとあらゆる可能性を持ち、その力で遠呂智を倒した。しかし溺れるような、全てを捨ててのめり込むようなものか?」
独り言のように呟く太公望に趙雲は。
「恋をしているのですね。その伏犠という方は。太公望殿は恋をした事が無いのですか?」
「フン。恋だと?」

ばかばかしいとばかりに太公望は趙雲に冷めた視線を向けて。
「そのような物、必要ではあるまい。むしろ我ら仙人には邪魔なだけだ。」
「人と交わった事も無いのですか?」
「何故人と交わらねばならぬ。精を出したければ仙界の女で事足りる。あれは極上の酒のような物だ。溺れるような物でも無いが。」

太公望が趙雲に今度は尋ねて来た。
「貴公は恋をしたことがあるのか?人と交わった事があるのか?私の方が聞きたいものだ。」
趙雲は俯いて。
「私とて聖人という訳ではありません。叶わぬ恋に身を焦がした事も、望まぬのに無理矢理、精を注がれた事もあります。伏犠という方がうらやましい。恋に溺れて全てを捨ててもいいとは、さぞかし幸せなのでしょう。」
「自分が幸せではない言い方だな。」

趙雲は思った。今まで幸せだと感じた事があっただろうか?

劉備の背を追って民の幸せを想い、槍を振るい戦に明け暮れる。
その生き方を信じて必死に戦ってきた。

だが恋に関しては、上手く行った試しが無くて。
好みの女性が居ても告白するという事をしなかった。
戦に明け暮れる自分が幸せにしてやれる自信が無かったから。
遠くから好きな女性を見る事しか出来なくて…

顔が綺麗だったから、性の対象にされた事もあった。
捕まって数人がかりで犯された事もある。
性の対象にされる度に趙雲は仕方が無いことだと諦めて生きてきた。

「太公望殿…恋に溺れてみませんか?」
太公望は驚いたように趙雲を見つめた。

趙雲は慌てて首を振って。
「私と恋に溺れろとは言っていません。私は男です。でも伏犠殿がうらやましく感じませんか?そこまで人を愛する事が出来るのです。その心を知らぬとは太公望殿こそ幸せではないのではありませんか?」
太公望は目を見開いた。趙雲の首筋にピシっと釣り竿を当てて。

「男でもかまわぬ。確かに私は伏犠の心にとまどう一方、うらやましさを感じていたかもしれぬ。人の子に溺れるとはどのような物なのか…言い出したのは貴公だ。溺れる幸せを…まずはその身体から。伏犠が溺れている相手は男だ。さぞかしいいに違いない。」

趙雲は決意したように。
「それ程良い身体でもありませぬが…望まれるならば。場所はどこにしましょう。」
「外でやる趣味は無い。貴公の屋敷に連れて行って貰おうか。」


趙雲は太公望を馬に乗せ、自らの屋敷に連れて行った。
屋敷自体も小さく、中は質素な作りで。
趙雲は太公望を自分の部屋に通すと円卓の前に座らせて、茶を持ってきて注いで出す。
太公望は他に家具と粗末な寝台だけがある質素な部屋を見渡して。

茶を飲みながら。
「趙雲とあろう武将が随分と粗末な所に住んでいるのだな。」
「私一人ならこれで充分です。」
「食はどうしているのだ?」
「自分で作ります。たまに諸葛亮殿と月英殿が食に呼んでくれるので、そこで食べる事もありますが。」

趙雲はそう言うと、纏っていた鎧を、服を太公望の前で脱ぎだした。
太公望はフフンと笑って。
「そう焦ることは無い。何か食わしてもらおうか。」

趙雲は慌てて身支度を調えて。
「失礼しました。食をお持ちしますので。」
趙雲が居ない間、太公望は茶を飲み干し、食が出来上がるのを待つ。
しばらくすれば、いい香りが漂って来て。
太公望の為に趙雲は粥を作って持ってきた。中に野菜や肉を入れて塩で味付けしてある。
「このような物しかありませんが。」

太公望は趙雲の作った粥を匙で口にして。
「なかなか美味い物だ。」
「仙界ではもっと美味いものがありましょう。」
「確かに仙界の物は美味いが…私の為に作ってくれたのであろう?心が温まる。」

太公望はしみじみと。
「このような穏やかな気持ちになったのは、どの位ぶりだろうか。」
「太公望殿…」

しかし、カシャっと音をさせて卓の上に器を置き、太公望は趙雲に向かって。
「服を脱ぐがいい。貴公の身体、楽しませて貰おう。」


趙雲が鎧を脱いで全裸になり、寝台の上に横たわれば、太公望も着ている物を全て脱ぎ捨て全裸になって。
仰向けに寝転がる趙雲の上に身体を重ね、その唇に唇を寄せ触れるような口づけをしてくる。
趙雲が太公望に向かって。
「壊れ物を扱うように触れずとも、私は男です。太公望殿は女性に対していつもそうなのですか?」
「私程の男が女に翻弄されてたまるか。あのような仙界の冷たい女に。女は抱くが、のめり込むことはしない。」
「口づけとはこのようにする物なのですよ。」

趙雲が太公望の唇に舌を差し込んで、激しく舌を絡めるような口づけをしてくれば、太公望は慌てたように…目を見開くも、趙雲に答えるかのように寝台にその身体を押しつけて激しく自分からも舌を絡めて二人は互いの唾液を貪るような熱い口づけを楽しみ。

顔を赤くしながら唇を離したのは太公望の方だった。
しかし口調は冷静そのもので。
「クク…私とあろう者が熱が上がって行く。趙雲。貴公の身体を味わうのが楽しみだ。」

趙雲の胸に太公望は手を這わす。
「男の胸は平たいのだな。感じる物なのだろうか。私は感じたりはせぬが。」
だなんて言いながら趙雲の胸を両手を使ってまさぐるように揉んでくれば、趙雲は乳首を勃たせて喘ぎ声を上げ。

「ハァ…気持ちがいい…感じてしまいますっ…」
「こんなに硬く勃たせよって。下も硬くなってきているようだな。」

太公望が趙雲の一物を手で握り込めば、それは硬く勃ち上がってきていて。
一物に関してはどういう風にすれば気持ちよくなるのか、太公望とて良く解る。
思いっきり根本から先端まで何度も強く擦りあげてやれば、趙雲は息を荒げて太公望にしがみつき。
「ハァハァ…イくっ…イってしまいますっ…」
「イくがいい。」
「あうっ…」

熱い蜜を強か太公望の腹に吐き出せば、太公望は腹に手を当ててその蜜を指先で拭って。
趙雲は慌てたように。
「引っかけてしまいました。拭きましょうか?」
太公望は指先で拭った趙雲の蜜を見つめながら。
「可愛いものだな。このような物を私に引っかけるとは…」

趙雲の両腿に手をやると押し開き、蕾に自らの興奮しきった一物を押し当てる。
趙雲は覚悟したかのように瞼を瞑り。
太公望は趙雲に向かって優しく尋ねる。

「どうした?怖いのか?」
「いえ…」
「だったら挿れるぞ。」

ググっと力を込めて趙雲の蕾に自らの一物を沈めて行けば、趙雲の内壁は強く太公望の一物を締め付けてきて。
「クっ…きついものだな。女と違って。」
「ハァハァ…大丈夫ですから。このまま…」
「私は男と契った事がない。慣らさねばならなかったか?」

ズルリと一旦、趙雲から一物を抜くと太公望は趙雲の蜜で濡れた指を二本、その蕾に入れて慣らすように拡げるように指を動かせば、趙雲は息を荒げながら。
「ハァハァ…手間をかけさせてしまって…申し訳ございませんっ。」
しばらく指を動かして居たが太公望は頷いて。
「大分、緩んでほぐれて来たようだ。」
ズルリと指を抜くと、改めて自らの一物を趙雲の蕾に押し当てる。

ゆっくりとその蕾に沈めて行けば、趙雲はビクビクと身を震わせながらも、太公望の一物を受け入れて。

「ああああっ…太公望殿っ…」
「趙雲の中は熱い…なんと熱いのだろう。」

ズチュっと深々と趙雲の中を貫いて。
腰を引きズチュっと再び深々と貫き。その動きをだんだんと早く激しくしていく。
趙雲は太公望に犯されながら、そこからもたらされる快楽に必死に腰を振って。

「ああっ…ひぃっ…ああっ…」
「気持ちがいいようだな。」

太公望は趙雲の一物に指を絡め、動きに合わせて擦りあげてやれば、趙雲の一物は勃ち上がり先走りの蜜が溢れ出して。

激しく腰を叩き付け、ズチュグチュっと音をさせ、趙雲の中を一物で擦りあげていた太公望であったが、ふいにズチュっと深々と貫くと趙雲の中に熱い蜜を強か注ぎ込んで。
その熱さを必死に趙雲は身体の奥で受け止めながら、蜜を一物から吐き出して。

息を荒げながら太公望は身を起こし、一物をズルリと抜くと趙雲に向かって。
「足りぬ…もっともっと熱くなれるはずだ。もっともっと…」

そう呟くと趙雲の両手を布で縛り上げる。
両足も思いっきり開脚し、動けないよう右腿と右足首、左腿と左足首をそれぞれを縛り上げて。
趙雲は目を見開いた。

「何をっ…」
「付き合ってくれぬか。貴公に溺れたい。溺れる幸せとやらを味わってみたい。」

太公望は縛り上げた趙雲に再び自らの一物を回復させ、逞しく勃ち上がらせると勢いをつけてズチュっと一気に趙雲の再奥を貫いた。
腰を掴んで激しく、息を荒げながら趙雲の再奥をこじ開けるかのように、これでもかと言うくらい一物を動かし、叩き込む。
趙雲は悲鳴を上げて。

「ひぃっ…ひぁっ。ハァっ…ハァっ…嫌っ…ああっ…止めて下さいっ。太公望殿っーーー。」
「やめられぬ。もっと私に熱をっ…」
「ああっ…又っ…又…イくっ…」

涙を流し、身を震わせて一物から蜜を僅かに吐き出す趙雲。
それでも太公望の攻めは終わらなくて。

以前、数人の男に陵辱された事を趙雲は思い出した。
長坂で阿斗を抱き締めて逃げるときに、民家に押し込められ犯されたのだ。

血が流れて痛くて苦しかった。それが趙雲に取って初めての交わりだったのだから。
それでも次から次へと男がのしかかってきては趙雲の身体の中に精を放っていったのだ。

身体の奥に熱さを感じる。
太公望が再び蜜を注ぎ込んだのだ。

それでも太公望は趙雲を離してはくれない。
更に両腿を限界まで押し広げ、達したはずなのに勢いの衰えない一物で再び趙雲の中で動き出して。

趙雲は太公望に向かって懇願していた。
「ゆ、許して下さいっ…もうっ…許して…助けて…お願いですから…」
太公望は泣く趙雲に気付き、動きを止めるとズルリと一物を引き抜いて。
縛っていた縄を外して自由の身にしてやれば、趙雲は横たわり身を震わせて太公望に背を向け。

太公望は身を起こしたまま趙雲の背を見つめながら。
「熱くなりすぎてしまったようだ。すまぬ。」
趙雲はやっとの思いで太公望の方を向き。
「いえ、私の方こそ取り乱してしまいました。」
「貴公の…趙雲の悲しい想いが流れ込んできた。辛い事を思い出したか?」
趙雲は瞼を瞑り涙を流す。
太公望は趙雲の髪を優しく撫でながら。

「貴公をもっと知りたい。私も伏犠の事を言えぬようだ。趙雲。今度身体を交わすときはもっと優しくしよう。その時こそ溺れる幸せ…恋を知る幸せを私は解るのかもしれぬ。」

ふと趙雲が瞼を開ければ、太公望の姿は消えていた。

趙雲は身を起こして呟いた。


「朝まで共に過ごしてくれてもいいものを…太公望殿…今度会う時は良き交わりを致しましょう。私は待っておりますから…」


胸が締め付けられるように辛い。

趙雲の悲しい気持ちを包み込むように、ゆっくりと夜が更けていくのであった。

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