幸村×趙雲 お話
□赤い月
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− 何故、貴方は私の元へ来たのですか。
忘れよう忘れよう…貴方への想いは忘れようと思ったのに。
貴方の顔を見てしまったら私はこの想いを押さえられなくなる…
愛しております…趙雲殿…貴方と共に戦ったあの時から… −
その夜は赤い月が煌々と輝いていた。
幸村は赤い鎧を纏ったいつもの姿で馬を駆って佐和山の三成の元へ向かっていた。
再臨した遠呂智を倒し全ては終わったはずだった。
英雄達の小競り合いは続けと、とりあえず世が落ち着いてみれば、ふと思い出されるのは趙雲の事ばかり。
今頃は劉備の元で働いているであろう、兄のように自分に接してくれた趙雲の優しさ、強さ、その声、その笑顔全てが愛しくて。幸村は趙雲が欲しい。欲しくて仕方が無くなっていた。
趙雲と共に暮らせたらどれだけ良いであろう。
こんな想いを持つのは間違っている。自分は男で趙雲も男である。
忘れよう忘れようと毎日を鬱々と過ごしていた矢先に趙雲が幸村の屋敷に昨日訪ねて来たのだ。
驚いた…と共にとまどって。
趙雲は懐かしいから会いに来たと言った。
久しぶりに会った趙雲と酒を飲みながら昔の話をしたりして。
でも趙雲は明日にでも劉備の元へ帰ってしまうだろう。
幸村は悩んだ。今にも理性が吹っ飛びそうで。このままではどういう行動にでるか自分でも解らない。悩んだ末に三成に相談する事にした。
三成は左近と共に佐和山の城に暮らしている。左近の事を妻と公言して憚らなかった。
そんな友を幸村は羨ましく感じていたのだ。
きっと三成なら自分の気持ちを解ってくれて、いい助言をしてくれるかもしれない。
佐和山の城に着くと、三成の部屋に来るようにと小姓に案内されて。
部屋の障子の前まで来ると、お待ち下さいと小姓は言って幸村は置き去りにされた。
障子に向かって声をかけてみる。
中から三成の声がした。
「開けてかまわぬぞ。今、取り込み中だがな。」
「失礼します。」
腰を落とし障子を開けて中をみれば、三成は全裸で同じく全裸の左近を仰向けに犯している所であった。三成の一物が左近の蕾を貫いて結合部からは何度か中に放ったのであろう。精で汚れて三成が動くたびにズチュっグチュっと溢れ出て。二人は共にうっすらと身体に汗を掻き激しく交わっている最中で。
左近は幸村の姿を認めると真っ赤になって慌てて着物を手に取り自らの身体を隠す。
しかし三成が腰を動かし続けるので。
「と、殿っ…幸村殿がっ…」
「かまわぬ。久しぶりだな。幸村。何だ。何の話だ?」
幸村も膝をついたまま赤い顔をして俯き。
「出直して来ましょうか…こんな時間にっ…思慮が足りませんでした。」
三成はニヤリと笑って。
「急ぎの相談でもあるのだろう?何だ。恋の悩みか?」
幸村が俯いて答えないので、三成はズチュっと強く腰を叩き付け、左近の中にたっぷりと熱い精を注げば左近も悲鳴を上げて自らの身体にかけた着物にたっぷりと精を吐き出して。
息を荒げている左近の身体から離れると素っ裸のまま幸村の前に歩み降り腰を落として。
「今宵は禍々しい月が出ている。見てみろ。幸村。赤い月だ。俺は自分の事を赤い月だと思っている。左近を無理矢理手に入れてこうして捕らえて離さないのだからな。無理にでも手にいれたい男でも出来たか?それとも女か?」
幸村は顔を上げて。
「惚れた男がおります。以前、共に戦った趙雲殿…今、私の屋敷に居るのですが私はどうしたら良いのでしょう。このまま忘れる方がいいのでしょうか。それともこの気持ちを伝えた方が…」
三成はきっぱりと。
「欲しいのなら無理矢理にでも手に入れるがいい。趙雲の心にお前の楔を打ち込んで縛り付けるがいい。生温い対応をしていたのでは、友というだけで終わってしまうぞ。」
左近が身を起こして着物を羽織りながら幸村の前に三成の隣に腰を下ろして。
「殿の言うことは間違って居ますよ。そりゃ俺は殿に無理矢理犯られて、こうして側に仕えて居ますがね。友という立場すら失ってしまう危険が…信頼という物を確実に失っちまう訳ですし。」
三成は左近を睨みながら。
「それじゃ左近…このまま友という名のみで終わっていいというのか。趙雲という男は幸村と仕える主も違う。疎遠になる事は確実だ。それならば無理矢理にでも手に入れる。そうすれば、確実に幸村は趙雲の心に残る事が出来る。憎しみと言う名であってもな。」
「憎しみという名で残ってどうするんですかっ。殿っ。」
左近が三成に向かって叫んだ後に、幸村に諭すように。
「ともかく殿の言う事には耳を貸さぬ方が…」
幸村は左近に向かって。
「私は苦しくて仕方がないんです。どんな形でも強く趙雲殿の中に私が残るならば…」
三成は幸村の肩に手を置いて。
「良く言った。見ろ。月もお前の決意を歓迎している。さぁ…趙雲を手に入れるのだ。」
三成の言葉に後押しされるように、幸村は馬を駆って自分の屋敷に戻った。
空には赤い月が幸村の心をせき立てるかのように不気味に輝いていて。