幸村×趙雲 お話

□赤い月3
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「殿…っ。見て下さいよ。あの提灯。」

騒ぐ左近に三成は呆れたように。

「提灯ごときで騒ぐな。」

「綺麗じゃないですか…幻想的で。」

「先に行くぞ。」

三成はさっさと歩き出す。左近は猛壬那刀を肩に引っ担いで慌てて後を追いかける。

二人は祭りに来ていた。

左近は上機嫌で。

城に籠もって夜伽三昧するよりは余程、気分も晴れて楽しいものだから。

「まぁ、殿との夜伽は嫌じゃないんですがね…」

ぶつぶつと独り言を言いながら三成の後を追いかける。三成がふいに立ち止まって。

「ここら辺りで待ち合わせをしているんだが。」

「待ち合わせ?今日は左近と祭りを楽しむって事じゃなかったんですか?」

「何だ。左近。祭りは楽しむつもりだが、二人きりの方が良かったか?」

三成がニヤリと笑うと左近はハァと息を吐いて。

「いえ、そういう訳じゃ…」

そこへ趙雲と共に幸村が現れた。

「三成殿。」

「幸村。」

「遅くなって申し訳ないです。」

そういう二人はしっかりと手を繋いでいるものだから。

左近はからかうように。

「待ち合わせ相手ってお二人でしたか。仲が宜しいようで。」

三成が左近に向かって。

「何でも蜀の連中の間じゃ、趙雲は行方不明になったって事で探しているらしいぞ。」

「行方不明っ????そりゃ大変じゃないですか。こんなとこ出歩いていいんですか?」

趙雲は幸村の手を握り締めながら。

「幸村殿が私の馬を野放しにしたのでそれを私を探しに来た諸葛亮殿達に見つかって…私とて言えぬでしょう。幸村殿に娶られて暮らしているって。」

幸村はにこやかに笑って。

「これだけ人が居れば解りませんよ。座敷牢で趙雲殿は暮らしているんですが、たまには外もいいかと思いまして。」

そこへのっそりと大男が4人の前に現れた。

「幸村、後はオマケ達。久しぶりだねぇ。」

「慶次殿っ。」

前田慶次は仲良く手を繋いでいる幸村と趙雲を見て。

「何だっ?幸村。どーいう事だっ???この綺麗な兄さんと特別な関係にあるって言うんじゃないだろうな。」

「私の妻です。名は…」

幸村が紹介しようとするのに左近が耳打ちする。

「そりゃマズイでしょ。行方不明の人の名を出しちゃ。」

「思い出したぜ。趙雲って言ったなぁ。お前らそーゆ仲だったのかい。」

ライバル心を剥き出しに趙雲を睨み付ける前田慶次。

三成がふふんと鼻で笑って。

「嫉妬という物は醜いぞ。」

「三成っ。天之瓊鉾でぶっとばしてやろうか。」

凄む慶次に三成は涼しげな顔をして。

「俺はかまわぬが。場所を変えるか?」

左近が二人の間に割って入って。

「今日は祭りですぜ。二人ともやめて下さいよ。酒でも飲んでぱっと派手に騒ぎませんか?」

慶次が機嫌を直したように。

「奢りなら俺はいいぜ。」

三成は左近に。

「左近、では行くぞ。当然、言い出したお前の奢りなのだろうな。」

「ちょっと殿っ。左近から金を取るんですかい。そもそもこの騒動の元は。」

幸村は趙雲と手を繋いだまま爽やかに笑って。

「ご馳走様です。左近殿。」

「わ、解りましたよ。左近の後に付いてきて下さい。昔は遊びましたからねぇ。良い所に連れていってあげますよ。」

皆は左近の案内で料亭に入って。

そこで芸者なんぞを呼び、踊る芸者を見ながら並んで座り酒を楽しみ料理を楽しみ始めて。

慶次はここぞとばかり幸村に絡む絡む。

その肩に手を置いて抱き寄せて。

「幸村。そこの兄さんより俺の物になれよ。天国を見させてやるぜ。」

「天国って何ですか?」

さらりと聞く幸村に慶次は自らの股間を差して。

「こいつを突っ込まれりゃ天国にイかぬ女はいねぇって訳よ。」

「私は男です。それにそんな物を挿れられたら壊れます。」

慶次の隣で飲んでいた三成が。

「男はデカさだけじゃない。テクニックも大事だ。俺のテクニックに左近なんぞは毎夜毎夜。」

左近は酒を吹き出して。

「こんな所でそんな話をしないで下さいよ。」

一番離れた所に座る趙雲に。

「趙雲さんっ。楽しんでますかね?」

「ええ、楽しんでいますが…」

そう言うと趙雲はスっと立ち上がり。

「前田慶次殿。幸村殿は私の物だ。勝負願いたい。」

幸村を抱き寄せていた慶次は楽しそうに趙雲の挑発に。

「おっ。勝負と来たか。かまわねぇぜ。で、何で勝負する?」

「その前に約束してもらいたい。私が勝負に勝ったら、すっぱりと幸村殿の事は諦めてもらいたい。」

「おうよ。承知した。それじゃ俺が勝ったら幸村殿を貰ってもかまわねぇって訳だな。」

幸村が慌てて。

「それは困ります。私は趙雲殿を手に入れるのにどれだけ悩んで…」

「幸村殿。自分の大切な人に手を出されているのに、私は黙って見ている訳には行かぬ。」

趙雲はきっぱりとそう幸村に言い切って。

慶次はニヤニヤしながら。

「それじゃ勝負の方法は何にする。」

「野球拳が良かろう。」

三成が酒を飲みながらサラリと言うのに左近が慌てて。

「殿っ。野球拳って???」

慶次は豪快に笑い出して。

「確かにここで殺生沙汰なんぞ起こしたくないねぇ。よし、野球拳と行こうじゃないか。先に素っ裸になった方が負けだ。それでいいかい?」

確認を取る慶次の言葉に趙雲は。

「野球拳?それは何なのだ?脱いで行くものなのか…」

幸村が趙雲に。

「じゃんけんをして服を脱いで行くものなのです。」

「解り申した。勝負から逃げたのでは趙子龍の名が泣く。この勝負、受けて立とう。」
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