ギャグ小説

□成歩堂の災難
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「まるほどう。この間、美人サンとキスしていたらしいな。」
二人で暮らしているマンションのリビングのソファで新聞を読みながらさらりと言うゴドー。今日は休日。遅い朝食の後、朝の珈琲タイムを二人で満喫しながら、成歩堂はテレビのニュースを見ていたのだが、ゴドーの問いかけに珈琲を吹き出して。
「ええ?どこで誰と僕がキスしていたっていうんです???」
ゴドーは新聞を置くと正面からカップを片手に成歩堂に。
「昔、デーとした公園で真っ昼間からキスしていたってネタはあがっているんだぜ。」

成歩堂は思い出した。
幸村のデートのリハーサルの相手になってやって、その成り行きでキスされたんだった。あまりの暑さにホテルのロビーで水をかぶのみしながら、左近と共にぐったりと休んで。
成歩堂は布巾を持ってくると吹き出した珈琲で汚れるテーブルを拭きながら。
「ええ。キスしましたよ。あれは成り行き上で。」
「成り行きならアンタ、誰でもキスしちゃうのかい?」
バンとテーブルを叩き立ち上がるゴドー。
「嫉妬…ですか?ゴドーさん。」
成歩堂がゴドーに顔を近づけてからかえばゴドーは不機嫌に。
「嫉妬しちゃ悪いか…」
そう言うとどさっとソファに座り込み。

成歩堂は思い出すように。
「そりゃ、幸村さんとの口づけは甘くとろけそうでしたけどね。彼は綺麗だし、あれ程の美人はなかなかお目にかかれない。まっすぐすぎる所が難ですけど…」
「真田幸村…アンタに似ているねぇ。」
「異議あり。似てませんよ。」
「まっすぐに弁護士目指す所なんてまっすぐ加減が似ていると思うが…」
「うっ…それを言われると…」

ゴドーはカップの珈琲を一口飲んで。
「そんなに奴がいいのなら、そちらに乗り換えたらどうだ?」
成歩堂は怒って。
「どうしてそういう話になるんです?幸村さんは趙雲さん一筋なんです。僕がゴドーさん一筋なのと一緒で。そうだ。ねぇ。久しぶりにデートしませんか?あの港の傍の公園で。いいでしょう?今日は涼しそうですし。」
「そこまで言うんなら、付き合ってやるか。」
ゴドーが承知したので、二人はあの公園へと出かける事にした。


成歩堂はゴドーの腕に腕を絡めて二人で歩く。
今日は曇りで夏には珍しく暑くは無く。
海へと続く木に囲まれた道を歩きながら。
「懐かしいですねぇ。昔、一緒に歩きましたよね。」
「ああ…あの時は必死だったぜ。まるほどうと一緒に居たい。ただそれだけで。」
「今はゴドーさんを娶って一緒に暮らしていける。僕、大切にしたいんですよ。ゴドーさんの事。これからも…だって僕の奥さんなんでしょう?」
そう言うと成歩堂は立ち止まって、ゴドーの顔を見つめ。
「これからも、僕の妻で居て欲しい。ゴドーさん。いや、神乃木荘龍さん…」
ゴドーもまっすぐに成歩堂の顔を見つめながら。
「俺もまるほどうの…龍一の傍に居たい…」

二人は顔を近づける。
キスをしようとした時だった。

「成歩堂さんっ。」
ツカツカと近づいて来たのは左近で。
「さ、左近さんっ。」

左近は三成と共に来ているようで。
三成が後からゆっくりとこちらに近づいて来る。

左近が成歩堂に。
「デートですかい?」
「ええ。そういう左近さんこそ。」
「殿と一緒に歩きたくて。あ、そうだ。成歩堂さん。メアド教えて貰えないでしょかね?せっかく知り合いになれたんですし。」
「いいですよ。ええと僕のメアドは…」


ふと二人は互いの背後から視線を感じた。

三成が左近に向かって。
「俺が居るのに堂々と浮気は許さんぞ。左近。」
ゴドーも。
「まるほどう…幸村だけでなく、この男とも…」


大慌てする成歩堂と左近。

左近が慌てて三成に。
「ち、違いますよ。ただ、メアドをっ…」
成歩堂もゴドーに向かって。
「そうですよ。浮気なんて。とんでもない。そりゃ、左近さんは確かに可愛いですが。」


バシャっ。

どこから取りだしたのかゴドーが珈琲カップに入った熱い珈琲を成歩堂にカップ毎投げつけた。頭から珈琲をかぶる成歩堂。

つかつかと背を向けて歩き去るゴドーに成歩堂は慌てて追いかける。

三成も左近に向かって。
「お仕置きだな。これからホテルでたっぷりと仕置きをしてやる。覚悟しろよ。左近。」
「まっ昼間から伽ですかい?勘弁して下さいよ。」
嫌がる左近をぐいっと腕を掴み連れ去る三成。


成歩堂はゴドーに追いつくと。
「メアドですから…ゴドーさんっ。怒らないで下さいよ。」
「嫌になっちまうぜ…」

ゴドーは振り返らずに言葉を紡ぐ。
「アンタが好きだ…でも自信がねぇ…幸村程、綺麗じゃない…左近程、可愛くも…まるほどう…こんな俺でも好きで居てくれるのかい?」
成歩堂は後ろからゴドーを抱き締めて。

「僕のお嫁さんはゴドーさんだけですよ。こんなにイイ男で色気があって可愛くて…誰よりも僕は貴方が大好きです。」
ゴドーは瞼を瞑って成歩堂の温もりを背で感じていたが、ふいに成歩堂が。
「それにしても、びしょ濡れになってしまいましたよ。ねぇ。ホテルに行きません?シャワー浴びたいな。」
「俺もホテルに行きたい気分だぜ。」
「それじゃホテルに行って…シャワーを浴びるついでに、ヤりましょうよ…」

二人はホテルに向かった。そうこの間、幸村が念入りに下見していたホテルに。

しかし、そこでも左近と三成に鉢合わせしようとは(笑)


妙な縁があるナルゴド夫妻と佐和山主従であった。

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