諸葛亮×趙雲 お話
□青き龍
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趙雲が皆を引き連れ遠呂智を倒して、劉備を助けてやっと戦が終わった日、皆、古志城で祝いの酒を飲み、陽気に騒いでいた。
やっと肩の荷が下りたのだ。どれだけ劉備を捜して苦労した事が…
「趙雲殿っ。」
「幸村殿…」
一人城の外で空を見上げていた趙雲に幸村が話しかけてきた。
真田幸村。彼と知り合い真っ直ぐなその心根を、武将としての強さを趙雲は好ましく思っていた。
「探していたのです。劉備殿について貴方は明日、行ってしまうのでしょう。」
そう…幸村とは仕える主も違うのだ。もう一緒に居るわけには行かない。
「幸村殿には感謝している。幸村殿の協力もあって遠呂智を倒す事が出来たのだ。」
「趙雲殿…私は…」
「幸村殿?」
「貴方が…」
そう言うと幸村は俯く。
何を言いたいのだろう…この若者は。
「貴方が好きです。」
趙雲は驚くと同時にふと今までの幸村の態度を思い出した。
そうだ…幸村は自分に対して時折、思い詰めたようなそんな視線を向けて居た。
「薄々、幸村殿の想いは感じていた。すまぬ。その想いに答える事は出来ない。」
「解っております。私の寄せる想いは間違っている想いだということを。
でも、言わずには…」
「幸村殿。どうかお元気で。」
趙雲はそう告げると背を向けて歩き出した。
そう…自分には幸村の想いを受け入れる資格等ないのだ。
幸村はぎゅっと強く背後から趙雲を抱き締めた。
「貴方が好きですっ…」
「幸村殿…私は…」
「言って差し上げたらいいでしょう。貴方は私の物だと言うことを…」
その声が諸葛亮だと言う事に趙雲は視線を向けた。
諸葛亮が城の中から白扇を優雅に扇ぎながらこちらに向かって歩いて来た。
「諸葛亮殿…。そうなのですか?趙雲殿。貴方は諸葛亮殿の物だと言うのは。」
幸村の確認に趙雲は頷く。
諸葛亮は趙雲に近づくと、グイっとその腕を掴んで引き寄せて、趙雲の腰に手を回しながら。
「私の物なのですよ。納得行かないようでしたら、ここで示して差し上げてもいいんですよ。」
諸葛亮は幸村に見せつけるように趙雲の唇に唇を寄せる。
幸村は耐えきれないとばかりに、背を向けて走り出した。
「幸村殿っ。」
趙雲が叫ぶ。
しかし、幸村は傷ついたように城の外に走って行ってしまった。
城の外へ駆けて行く様子を趙雲と諸葛亮は見つめていた。
諸葛亮は趙雲に向かって。
「気になりますか?」
趙雲は答えず俯いて。
諸葛亮は趙雲の耳元で。
「久しぶりに落ち着いたのです。貴方が欲しい。」
「諸葛亮殿…私は…」
「どうしました?震えてますね。」
「もう…あのような事は…」
「人の来ない所に移動しましょうか?それともここで。幸村殿に見せつけてもいいんですよ。」
怖い…あのような事を…いやあのような物で狂わされるのが怖い…
しかし諸葛亮は言い出したら無理矢理にでも…
趙雲は諦めたように。
「人の来ない所へお連れ下さい。」
二人は人気の無い一室に入ると、諸葛亮は趙雲に激しく唇を近づけて舌を絡めて貪って来た。趙雲も必死に舌を絡めて答える。
諸葛亮によって冷たい床に押し倒される。
鎧を脱がされ下に着ていた服をはだけられて、鎖骨の下を強く吸われた。
ピクンと趙雲の身体が反応する。
そうだ…まだ良いのだ…怖いのはこれから…
諸葛亮の衣から炊き込めた香の匂いがする。
影が…壁に二人の影が映っていた。
ゆらゆらゆらゆら。蝋燭の灯りに揺れて。
趙雲の上に居る諸葛亮の影がゆっくりと伸びて膨らんで行く。
趙雲は身を固くした。
諸葛亮は優しく趙雲の耳元で。
「感じるのですか?私の気が…それはそうでしょうね。もう何度もこうして身体を重ねているのですから。」
そう言いつつ諸葛亮の冷たい手が趙雲の股間をまさぐってその一物をぎゅぅっと握り締めれば趙雲はヒィっと悲鳴を上げて。
「嫌だ…壊されるのはっ…」
趙雲が涙ながらに訴える。
諸葛亮が趙雲の耳元で囁いた。
「でも、貴方は壊されるのは好きでしょう。」
諸葛亮の影が更に膨らんだ。その身体全体が緑の気に包まれる。
趙雲は覚悟したように、瞼を瞑るのであった。
翌日、幸村が自分を探している声で趙雲は目を覚ました。
裸の身体に諸葛亮の白の道服が掛けられていて。
痛む身体を起こすと、鋭い痛みと共に秘められた部分からダラダラと大量の緑の液がこぼれ落ちてくる。
それを自らの下帯を探すとそっと拭って。
数日は立ち上がる事もままならぬであろう。
諸葛亮に身体を求められるといつもの事なのだ。
「趙雲殿っ。」
扉が開いてしまった。
幸村が趙雲の様子を見つめて顔を赤くする。
趙雲は慌てて諸葛亮の服で自らの身体を隠して、横を向きながら。
「軽蔑するでしょう…」
幸村は首を振って。
「いいえ。私だって貴方に同じような事をしたいと思っていたのです。」
そう言って趙雲の辛そうな様子に。
「お身体は大丈夫ですか?」
言いつつも幸村は辺りを見渡して驚いた。
床に落ちている緑のねばねばとした固まりは何だろう。
指で掬って見て匂いを嗅ぐと、強い鼻を突くような匂いがした。
「この液体は…何ですか?」
趙雲に聞いてみる。
趙雲は身を辛そうに横たえながら。
「何でもない。何でもないのだ。幸村殿…そろそろ行かれるのであろう。どうか元気で。」
幸村は身を屈めると趙雲の身体を抱き寄せて唇に唇を寄せようとした。
しかし、出来なかったのか辛そうに瞼を瞑り強く趙雲を抱き締めて。
「どうか。趙雲殿もお元気で。お身体を大切にして下さい。」
そう言うと幸村は趙雲から離れて部屋を出て行った。
幸村が去って行く足音を聞きながら趙雲は無性に悲しかった。
まっすぐな幸村が自分に寄せてくれた熱い想いを踏みにじってしまったのだ。
瞼を瞑ると涙を一筋、静かに流すのであった。