幸村×趙雲 お話

□赤い月3
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芸者達がはやし立てる中、幸村を巡っての男二人の野球拳が始まった。

三成は涼しげに酒を楽しみ料理を楽しみ続けて。

幸村は左近と共に二人の勝負をはらはらしながら見守っていた。

「アウトっセーフ。よよいのヨイ。」

勝負は互角。互いに着ている鎧を一枚一枚、負ける度に脱いで行く。

左近は幸村に。

「こりゃマズイですねぇ。互角って事は。負ける可能性もあるわけじゃないですか。」

幸村は首を振って。

「私は絶対に嫌です。あんな化け物の相手をしたら壊れますっ。」

三成が酒を飲みながら、近づいて見ている二人の背に向かって。

「そんなに身を乗り出して。せっかくの料理と酒を楽しまんでどうする。」

左近が三成の声に振り向いて。

「殿、気になりますよ。負けたら幸村は慶次さんの一物で犯られちまうんですからねぇ。」

そして、互いに最後の一枚を残して全て脱ぎ去ってしまい。

慶次は自慢気にその鍛え抜かれた逞しい身体を見せびらかして。

「さぁてと。止めを差すとしようかねぇ。幸村。楽しみにしておけよ。今から、壊してやる。」

趙雲は拳を握り締め。

「幸村殿は私が守るっ。」

「アウトっセーフ。よよいのヨイ。」

そして趙雲がパー。慶次がチョキを出して。慶次はガッツポーズを決め。

「勝ったぜ。俺の勝ちだ。さぁ約束だぜ。幸村は貰って行くとするか。」

幸村の元へ慶次は近づくとぐいっとその身体をひっつかみ肩に担ぎ上げて。

趙雲は慶次の前に立ちはだかって。

「待ってくれぬか。まだ勝負はついていない。」

「んっ。何だ?あんたは負けたんだぜ。」

「脱ぐ物がなくなった方が負けなのだろう?」

そう言うと趙雲は下帯を取り素っ裸になった。

皆、あっけに取られて趙雲の方を見つめる。

芸者達はキャーキャいいながら視線はしっかり趙雲の股間釘付けで。

「最後の勝負だ。ここで私が勝てば互角。次のじゃんけんで真の勝負が決まるのではないか?」

慶次はマジマジと趙雲の裸を見つめ。

「幸村が選ぶだけの事はある。綺麗だねぇ…なんともまぁそそられるぜ。いいだろう。目の保養もさせてもらった。次で決めてやる。」

どさっと幸村を畳に降ろすと幸村は慌てたように趙雲に向かって。

「私の為に裸になってくれるなんて…」

趙雲は幸村の方を見つめ。

「幸村殿は私の大切な人だから。」

そして最後の勝負が始まった。

「アウトっセーフ。よよいのヨイ。」

趙雲がチョキ、慶次がパー。

「くそっ。」

慶次も褌を取り素っ裸になる。

股間に見られる男らしい逞しい一物。

芸者達は今度は赤くなって悲鳴をあげた。

左近が三成に近づいて。

「殿…見ましたか?あれこそ真の大筒ですねぇ。左近は自分の物を大筒と言っていたのが恥ずかしくなりましたよ。」

「俺はお前の大筒の方が好ましく思うぞ。」

「いや、好みの問題とか…そういう話じゃなくてですね。」

慶次が幸村に向かって叫ぶ。

「幸村見ろよ。俺の立派な一物を。こいつでこれから可愛がってやるぜ。楽しみに待っているがいい。」

幸村は赤くなって。

「大筒は嫌いですっ。趙雲殿っ。頑張って下さい。」

趙雲は幸村の方を見つめ頷き、慶次を睨み付け。

「幸村殿は渡さない。」

そしてこれぞ本当の最後の勝負って物で。

「アウトっセーフ。よよいのヨイ。」

趙雲がグー。慶次がチョキ。

「勝った…」

拳を握り締め、その場に固まる趙雲。幸村が駆け寄って趙雲を抱き締めて。

「さすがです。趙雲殿。」

慶次は面白くなさそうに。

「くそー。負けちまったぜ。つっまんねー。おい趙雲。俺は諦めねぇからなぁ。この次こそは幸村を奪わせてもらう。」

「幸村殿は渡さぬ。この趙子龍の命に替えても。」

左近が身支度を調えて帰って行く慶次の後ろ姿を眺めながら。

「宿命のライバル誕生って訳ですかねぇ…」

三成は立ち上がって。

「面白い余興だった。帰るぞ。左近。」

幸村は身支度を調える趙雲に。

「私の為に…私の方こそ伴侶である趙雲殿をお守りしなければならないのに。」

趙雲は幸村の身体を抱き寄せて。

「幸村殿が無事でよかった。さぁ屋敷に帰ろう。」

「ええ、帰りましょう。」

この二人の野球拳勝負は慶次の口から噂で劉備や諸葛亮の耳に入る事となり、趙雲は行方不明から公にも幸村の嫁として噂が広まる事になる。
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