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突然ですが私の個性について説明したいと思う。

私の個性“治癒”は、ただの擦り傷や打撲、骨折などの外傷、風邪…しか今まで治したことないけど、とりあえずその辺りは確実に治すことが出来る。試したことはないけど、恐らく特別な処置が必要な病気や不治の病的なものは治せない。何故ならこの個性は私自身の細胞を活性化させて治しているらしい。なので薬が無くても治せるようなものに限られるのだ。

それが何で他人の怪我も治せるのかって?それはなんとビックリ、手を翳して治していたと思っていたそれは治すのではなく自分に吸収していたのです!そして吸収した端から細胞を活性化させて治していたらしい。

ノーリスクだと思うじゃん?これが違うんだよ。どうやら人間の細胞分裂には回数が決まってしまっているらしく、それを無理にさせていくことは寿命を縮めているのと同じなんだって。細かい怪我ならまだしも、重度の怪我だったり、重い症状を治すことはかなりの負担になるらしい。

それを知るキッカケになったのは小学三年の時のかっちゃんの怪我を治すのにキャパオーバーしたからだ。
かっちゃんの怪我は綺麗さっぱり治せたけど、それを吸収した私の身体が耐えられず、私は気を失ったらしい。その吸収した分があったせいで、目が覚めてからも身体を動かせなかった、らしい。

きっとかっちゃんは私が起きる前に個性について聞いたのだろう。だからあんな事を言ったんだと思う。唯我独尊のかっちゃんだから「俺のせいで」なんて思ってなかったかもしれないけど、少なからず負い目は感じていたんだろうな。

入院している間に色々と検査をして、今説明した個性の明確な答えが出た。これによって先生から個性使用不可を言い渡されたのは言うまでもないだろう。個性を使えないのはちょっと不便だけど仕方無い。早死には御免だ。なので、かっちゃんとの約束もちゃんと守る事が出来たのです。私偉い!かっちゃんにも褒めてほしい位だ!

そして感動の再会を果たしたかっちゃんはと言うと、入学式に居なかった。必死に探してみたけど、いくら探せど居なかった。ヒーロー科は絶対だと思って探しても居なかった。A組は入学式に出席すらしていなかった。と、言う事はかっちゃんはA組か。とりあえず連絡しようにもかっちゃんから連絡先をもらってないから待つしか出来ない。

入学式の後は各教室にてガイダンスを受けて今日は終了だ。そしてそのガイダンスもたった今終わった。皆さっさと帰り支度を始めて次々と教室から出ていく。え、皆自己紹介とかして親睦を深めたりしないの?そ、そんな………隣の席の男の子はまだ座って荷物を鞄にまとめているところだ。よ、よし、話し掛けるなら今だ…!

「あの!私中原千晴って言います!よろしくね!」
「…………」

無言かーい!いや、ちょ、自分が出来る精一杯の笑顔を向けて挨拶したのに無言はキツい!入学早々心が折れそう!

「あ、あの、」
「あぁ、ごめん、俺は心操人使。よろしくね、中原さん」

一拍遅れて向こうも自己紹介をしてくれた。ああもう焦った!

目の下の隈が凄い心操君だが、話してみると気さくでとても良い人だった。幼馴染に会えるし、隣の人にも恵まれて、今後の高校生活は輝かしいものになるに違いない。

「そう言えば、昇降口の辺りでバクゴーって奴と話してたけど知り合いなの?」
「えっ!あれ見られてたの!?うわ、やだ!」

テンション高く絡んだり胸倉掴まれたりしてるとこ見られてたとか恥ずかしいったらない!顔が赤くなっているのがわかって余計に恥ずかしさが増した。

「う、うん、そう、幼馴染なんだ」
「へぇ」

顔の熱を引かせるために手をパタパタと仰いでみるがあまり効果は無さそうだった。

心操君と話してる途中、ブレザーのポケットから振動を感じた。心操君に一言断りを入れてポケットに入っている携帯を取り出し画面を確認する。電話だったけど知らない携帯番号だ……はて?もう一度心操君に断りを入れ、電話に出た。

「もしも『出るのおっせーんだよこのカス!!!』かっちゃん!?」
『今すぐ校門のとこ来い』
ブチッ、
「えっ!?ちょ、かっちゃん!?あ、切れてる!!」

相変わらず横暴も良いところだ…待たせると後が怖いので急いで帰り支度を始めた。

「心操君ごめん!私急がないといけなくなった!」
「うん、なんか大変そうだけど頑張って」
「あ、ありがとう!また明日ね!」

心操君はなんて優しい人なんだ…!かっちゃんの横暴さの後では余計にそう思えて思わず涙が出そうだった。

心操君に向けて手を振りつつ教室を出て、私は全力でかっちゃんが待っているであろう校門へと走り出した。









友人第一号?

(幸先良好!)




 

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