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昨日の放課後はかっちゃんからの呼び出しに急いで校門へと向かった。かっちゃんは何故かやたらとイライラしていたので触らぬ神になんとやら、当たり障りの無い話をして一緒に帰宅した。

と言っても私は学校の最寄駅から近い所に家を借りたから、あまり一緒にはいられなかった。自然と家まで送ってもらうことになってしまって申し訳なかったけど、やっぱりかっちゃんは何だかんだ優しい。

家に着いて一人暮らしということをかっちゃんに伝えたら眉間に皺を寄せて何かを言いたそうにしていた。まぁ積もる話もあるし、ついでに家に上がっていってと言った瞬間に頭を叩かれた。

「痛い!何で!?」
「てめェはよお…!」
「え!?何でそんなに怒ってんの!?いいじゃんお茶出してあげるから話そうよー!」
「うっせえ!今日は帰る!」
「えぇー…」

相変わらず口より先に手が出る男だな…しばらく腰パンをしたポケットに手を突っ込み、柄の悪い出で立ちで去っていく後ろ姿を見ていたが聞きたいことがあったのを忘れていたので慌てて呼び止めた。「あ゛ぁ!?」なんて声を出しても足を止めてこちらへ振り向いてくれるんだから律儀だよなぁ。

「LINEのID!教えて!」
「あ?」
「電話だけだと不便」
「…携帯出せ」

やっぱりかっちゃんは優しい。




▽△▽





そして今日、新しく友達になれた前の席の女の子、トモちゃんと休み時間に話をしていたら机に置いていた携帯が震えた。電話だ、と思い画面を見れば“爆豪勝己”の文字。トモちゃんに断りをいれ急いで出れば「昼休みA組に来い」とだけ言われて電話は切れた。

今日はトモちゃんとご飯食べたかったんだけどなぁ…と遠い目をしていたらトモちゃんが心配してくれたので事情を説明した。トモちゃんは笑って気にしないで行ってきなと言ってくれて友達って良いな…!なんてマジ泣きするところだった。隣の心操君がこちらを見ていた気がして振り向いたが心操君は前を向いていた。気のせいか。

そしてやってきましたA組ヒーロー科!ヒーロー科なんて関わりないからちょっと緊張する…が!行かないと行かないでかっちゃんがキレるから行くしかないのだ!気合いを入れて扉に手をかけたら何故か自動で開いて目の前に人が居た。

「うわぁあ!だっ、ビックリしたあ!!」
「え!?え!あ、ごめんなさい!?」

急に現れたもんだから思い切りビックリして声を上げたら目の前の人もビックリしてた。いやなんかすみません……ん?なんかこのモジャモジャにそばかすは見覚えが………

「あああー!!出久君!?出久君だ!」
「え!?……あ、もしかして千晴ちゃん!?」
「出久君も雄英だったんだね!しかもヒーロー科!ひゃー!元気だった?」
「う、うん!千晴ちゃんも雄英に来たんだね」
「そうそう、普通科なんだけどね!」

A組の入口で出久君の手を握ってキャイキャイしていたら教室内から物凄い視線を感じた。うっわ、めっちゃ見られてる。今更ながらに恥ずかしくなってきた。出久君から手を離して頬を掻いていたら出久君の隣に居たメガネ君が不思議そうにこちらを見ていた。

ていうかここに来た当初の目的忘れてた。やばい。

「緑谷君の知り合いなのか?」
「うん、幼馴染なんだ」
「話途中ごめんよ、出久君かっちゃん居る?」
「かっちゃん?かっちゃんなら…」

と言いながらかっちゃんが居る方向に振り返る出久君につられて私もその方向へ目を向ければこれまた頗る機嫌の悪そうな顔をしたかっちゃんが居た。

「げっ……かっちゃーん!来たよー!」
「げっ、て何だこのクソ女…!」
「やだもう、ホントかっちゃんてば地獄耳なんだから」
「殺すぞ!」
「ああちょ、襟引っ張んないで、ぐぇっ」

ズカズカと入口に向かってきたかっちゃんは出久君にぶつかるのを忘れずに、そのまま私の制服の後ろ襟を掴んで引き摺るようにして食堂に向かいだした。出久君を見たらポカーンとした顔でこちらを見ていたのでとりあえず手を振っておいた。他の人達も教室からポカーンとした顔を覗かせていて注目を浴びていたことにまた恥ずかしくなった。

何も気にしていないだろうかっちゃんを見たけど、やっぱり何も気にしていないようでそのままズカズカと歩いている。ただね、今お昼休みで廊下に人が沢山出てきてる中、女子の首根っこ掴んで歩いてるのはかなり目立つのでホントにやめてください。









マイペース野郎

(早く放してー)




 

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