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「おはよ…ぅわ、何その顔」
「傷心の乙女に向かって何たる言い草……」
「どうしたの中原さん」
「さぁ?朝来てからずっとこんなだよ」

心操君の言葉により机に突っ伏した私の頭の上でトモちゃんと心操君が会話をしている。最初は私のことについてだったが次第に違う会話になっていた。ヒドイ。本当にこいつら友達か?

今までかっちゃんに怒られることはあれど拒絶されたことはなかった。なので昨日のことは私にとってかなり衝撃的だった。

私の何かが気に障ってしまったのだろうか、もうかっちゃんと話すことは出来ないのだろうか。折角数年振りに会えたのに、もう仲良くいることなんて無理なのだろうか。昨日家に帰ってからもそんな事がずっと頭の中をループするばかりで、気付けば夜が明けていた。なので今日は絶賛寝不足のために心操君に負けず劣らずの隈が出来ている。

「ヒドイよ…もう少し心配してくれても良いじゃないか…」
「いや、なんか大したことなさそうな気がして」
「マジでヒドイ」

真顔でそんなことを言い放ったトモちゃん。隣の心操君に助けを求めたが前を向いていてこちらに見向きもしてくれなかった。何だこいつら!

私のこと心配してくれるまで意地でも顔上げるもんかと決意新たに腕に力を入れると同時にブレザーに入れていた携帯が震え出した。いきなりでビックリして結局顔を上げてしまった。私の決意って一体……。

携帯の画面を見ると目下悩みの種の“爆豪勝己”の文字。ビックリして携帯を落としそうになった。一人であわあわしていたらトモちゃんが出ないの?と聞いてきたので反射的に出ます!と声を出してしまったので出るしかなくなった。

「はっ、はいぃぃ!」
『朝からうるせえ!今日の昼A組来い』
「は、え、ちょ!かっちゃん!?切れた…」

それだけを言って電話は切れた。これはもももしかして絶縁宣告でもされるのでは……!?

「う、うわあああんトモちゃあああん!私かっちゃんに嫌われたかもしれないいい!」
「えぇ?でも今また呼び出し受けたんじゃないの?」
「う、うん…お昼にA組来いって…」
「じゃあ違うんじゃない?」
「でも絶縁宣告されたらどうしよう…」
「そんなの行ってみないとわからないじゃん」
「う…そう、だよね…」

トモちゃんに大丈夫だよ、と頭を撫でられて危うく涙が出そうだった。やっぱりアナタは私の友達だ…と感動していたら隣から視線を感じたので隣を見たら心操君に鼻で笑われたのでとりあえず肩パンしておいた。こいつは友達じゃない。



△▽△



とうとうお昼が来てしまった。

お昼になったらチャイムが鳴ると同時にダッシュでA組に来た。怖い。このドキドキは走ってきたドキドキではなく絶縁宣告だったらどうしようのドキドキだ。怖い。

かと言ってここでうだうだしている時間もない。意を決して扉に手をかけたらまた自動でドアが開いた。

「うああ!あっ、ちょ、出久君またキサマか!」
「えええ!?あ、千晴ちゃん!」

一度ならず二度までも驚かせやがって!!もう心臓バックンバックン言ってて何がなんだか訳がわからなくなってきた。

「お、この前の子だ。なぁ、爆豪の彼女なん?」
「は?」

出久君の後ろから顔を覗かせてこちらを見てくる金髪君。私がかっちゃんの彼女だって?そんな恐れ多い……て、ああ!かっちゃん!

「かっちゃん!!!」
「うるせえっつってんだろ」

赤い髪の人と一緒にこちらに向かってくるかっちゃん。あ、あれ?怒ってない?

行くぞ、と腕を掴まれてまた連行されるような形で食堂に向かおうとするかっちゃん。

「ちょ、ちょっ!かっちゃん怒ってない?」
「は?」
「だって昨日……」
「………」

眉間に皺を寄せ何か言いたそうな顔をしたかっちゃん。その顔を背け、また足を進め始めようとする。

あぁ、この顔は見覚えがある。昔かっちゃんが個性を使って私が怪我をしてしまった時にしていた顔と同じだ。謝ろうとするけど口に出せなくて言い淀んでいた顔。今もしているってことは昨日のことを気にしてくれてるんだ。良かった、私嫌われた訳じゃないんだ。

「がっ、がっぢゃぁぁん」
「誰ががっぢゃ…」
「えぇ!?おい大丈夫か!?」

かっちゃんなりに仲直りしようとしてくれてると思ったら安心して涙が出てきてしまった。こちらを見てくれたかっちゃんは勿論、周りに居た赤髪の人まで驚いていた。

「お、おい爆豪!この子泣いてんぞ!」
「うわー、女子泣かせるとかさすが爆豪」
「千晴ちゃん大丈夫!?」
「爆豪サイテー!」
「…あ゛ぁ!?」

周りから色んな事を言われているが一向に涙は止まらない。かっちゃんに泣かされているっちゃいるけど、かっちゃんが悪い訳ではないから申し訳ない。
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