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「この糞ガリ勉!」
「ちょ、何なんですか!」

皆が居る席へと戻ったらいきなりヒル魔先輩に怒鳴られた(銃声付きで)。何か変な事でもしたかと先程の行動を思い出してみるが、何も思い当たらない。敢えて言うなら敵のチームと話した、とか?

「てめぇ巨深の奴と知り合いなのか」
「え、あァ、幼なじみですけど」

それが何かあるのか、と視線で訴えながらヒル魔先輩を見る。先輩は暫く考え込んでいたが、何かを思い付いたのか私の顔に向けて指を差しながらこう言った。

「お前巨深行ってスパイして「頑としてお断りさせて頂きます」…チッ」

チッじゃねぇよ、チッじゃ。何させようとしてんだよ。生憎友達を売るような腐った精神してないんでね。

そうこうしている間に試合が始まったようだ。賊学もデカい選手を出してきて、全体的にデカい選手ばかりだ。駿は………あ、居た。えーっとポジションは…ラインバッカーか。ふぅん。



 ▽△▽



試合は巨深の圧勝。仕方無い。実力もそうだけど、賊学の選手に既に覇気が無かった。そんなので上に行こうなんざお門違いも良いとこだ。

試合も終わったし、巨深は勝ったから雰囲気も和やかだ。これなら中に入っていっても大丈夫だろ。何か言われたらそん時ゃそん時だ。

「お疲れ」
「…………」
「…何その顔」

矢鱈と渋い顔してんだけど。何だか物凄くイラッとする。しかもご丁寧に溜め息付き。一体私が何をしたっていうんだ。

「……………」
「……………」
「……………」
「……………」
「………ねぇ」
「……………」
「…ちょっと」
「……………」
「…………せいっ!」
「うっ…!」

見たか私の右ストレート(鳩尾)!さすがにお前でも耐えられなんだか!はーっはっは!…と、仰け反りながら言い、更に私を無視した事を後悔するが良いさ!と声高々に言ってやった。

あまりにもムカついたので、そのまま帰ろうと思い駿に背を向けて歩き出そうとしたら突然後ろが賑やかになった。

「ンハッ、筧が死んでる!」
「ばっ、ちょ、水町、やめ、」
「何、腹やられた?」
「……何してんの」

ちょっと気になって振り向いてみたら駿がパンツ一丁の奴にいじられてた。て言うかこんだけデカい奴らが集まってると何かウザいな。

「あんた誰?」
「泥門デビルバッツマネージャー中原千晴」
「泥門!?…ふーん。俺は巨深一年水町健悟!よろしくなー!」
「よろしく」

パンツ一丁男、もとい水町。何だか馬鹿そうな匂いがプンプンするが、面白そうな奴だ。次に当たるチーム同士だから驚いてはいたが、特に気にする様子も無い。良かった。暫く水町と話していたら、漸く回復してきたのか駿が此方へ歩いてきた。

「何すんだよ」
「自業自得」
「アレ?二人知り合い?」
「幼なじみ」

ふーん、とか興味無さそうだなオイ。いやはや、それにしても何だか駿がまだお怒りのようだ。こっちだってまだ怒ってんだからな。

「……んで」
「は?何言ってんのか声小さくて全然聞こえないんですけどー」
「……何でお前泥門に居るんだよ」
「は?」

いや、二回目はさすがに聞こえたけど………は?…何で私が泥門に…って、は?意味分からん。

「何でって……家から近かったから」
「…………」
「ンハッ!わかった!筧、千晴ちゃんが泥門に居るの嫌なんだろ!泥門に勝つの気まずいもんなー!」
「……は?」
「ちが、水町!」

何やら駿が焦って水町の口を抑えようとしているが、ヒョイヒョイと水町が避けていて中々捕まらないようだ。しかしそんな事は気にならない。私の頭の中は違う事でいっぱいだ。

私が泥門に居るのが嫌?次の試合で巨深が勝つから?泥門の私に気を遣うから?…………

「なめんな!」
「「!?」」
「まだ泥門のマネージャーになって三日目だけどなァ、」
「三日目なんだ」
「話の腰折んな!こちとら負けず嫌いで通ってんだ、泥門が負ける?ハッ、勝つに決まってんだろ!」
「…………」
「気を遣うのはむしろこっちじゃボケェ!」

…と、負け犬の遠吠え(負けてないけど)の如く言って走った。














絶対勝つ!(選手じゃないけど)














(何でこうなった…)
(ドンマイ筧)
(お前のせいだろバカ!)



 

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