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「キルアァァアア!」
「うぉっ!?」
湿原を抜けて二次試験会場に着いてすぐにキルアを見つけたので、思わず抱き付いた。だってキツかったんだ!ヒソカと二人(レオリオも居たには居たが気絶していたし)とか全身鳥肌も良いとこだ!本来ならばゴンに抱き付きたいが、まだ着いていないようなのでキルアで我慢。でもキルアも私にとっては癒やしだ。例え物凄く拒否されようとも。
「離れろっつーの!」
「頼むよキツかったんだよ鳥肌立ち過ぎて鳥になるかと思ったんだよォォオ!」
なる訳無ぇだろ阿呆、と頭を叩かれた。そんな遣り取りでも私は十分癒されます。ありがとう。念の為言っておくが、私はマゾではない。そこのところ誤解の無いようお願い頂きたい。
お前よく戻ってこれたな、とキルアに言われてこれまでの経緯を説明した。するとキルアに哀れむような目で見られ、お疲れ、と頭を撫でられた………ちょっと今キュンときた……仕方無い、女の子は傷心の時に優しくされるとコロッといってしまうからね。女の子なんてそんなものだ。
ふとゴン達の気配を感じた。どうやら到着したらしい。キルアも気付いたようで、ゴン達の方へと向かう。因みに私はまだキルアに抱き付いたままである。
「歩き辛ぇんだよ!離れろ!」
「そんな殺生な!」
「キルア!チハル!大丈夫だった!?」
「ゴンンン!」
「わぁ!」
ゴンを見つけた瞬間私はゴンに飛び付いた。やっぱりゴンは私の天使だ…!しかしキルアに首根っこ掴まれて引き剥がされた。チクショウ!まだ鳥肌収まってないのに!
……………まァ何やかんやで二次試験会場まで着いた訳です。会場着いたらほとんどの人は到着していて、遅れてきたのは私達とゴン達位なものだ。
いやはや、それにしても間に合って良かった。遅刻で試験受けれないとか最悪にも程がある。会場に着いてからは変態野郎から即行で離れ、そして冒頭に至る。
「二次試験どんな内容だろうな」
「あー…確か、」
ピーーーー…ン
「お、始まるみたいだぜ」
「…………」
料理、って言おうとしたら時計に遮られた。チクショウ、最後まで言わせろ。
扉が開くとそこには矢鱈大きい男と、ナイスバデーなお姉様が居た。試験内容が料理と言う事は既に判っている為、どんな料理が注文されるのかドキドキしながら待つ。一応料理の勉強もしてきたが、あまり上手く出来なかったので忘れる事にした。
「俺のメニューは、豚の丸焼き!俺の大好物!」
凝った料理がくるのかと思いきや、丸焼きて。美食ハンターとしてそれはどうなんだ。
豚の種類は自由と言われたが、確かこのビスカの森に生息する豚は一種類だった気がする。しかも飛び切り凶暴な。…………まァ、何とかなるだろう。
「よっしゃ、狩りに行きますか」
メニューを聞いた途端皆走って森に入って行った。ゴンやキルアもさっさと行ってしまった。くそう………まァ鳥肌治まったから良いけどさ…。
若干出遅れた感があったので、急いで私も森に入った。そしたらそこかしこから豚の断末魔が聞こえてきた。やば、豚居なくなってなきゃ良いけど。
ちょっと焦っていたら調度良いところに豚がこっちに向かってきた。確かこいつらの弱点は額だった筈だ。木に登り、そして上から踵落としをお見舞いしてやった。ドスーンと盛大な音を立てて倒れた豚を見て、火が無い事を思い出した。なんてこった、誰かのおこぼれで火もらえないかと考えていたらパチ、と火が燃えてる音がした。天の助けとばりにそっちに行ったら、あのいつもカタカタ言ってる301番が居た。
「………(カタカタ)」
「…………」
怖いんですけど。ホラー映画でも観てるような気分なんですけど。いやでもここで火を逃すのもなァ……仕方無い!行こう!頑張れ自分!怖くなんかない!
「………(カタカタ)」
「……あの、火使っても良いですか?」
「………(カタカタ)」
………いっか。使っちゃえ。カタカタ言われたって解る訳無いだろ。まァ殺気は感じないし、大丈夫だろ、うん。
暫く二人して無言(向こうが喋れるのか判らないけど)だったが、豚が焼けたのか301番は立ち上がった。私のはもう暫く掛かりそうだ。
「火、ありがとうございました」
「……(カタ、カタカタ)」
「………?」
「……(カタカタカタ)」
「……火の後始末はしっかりしろって?」
「……(カタ)」
「…………」
いや、わかんねぇよ
(て言うか念出来るんだから念で文字とか出してくれよ)
(でも意外と怖くなかった)