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「何コレ、うまっ」



只今私はクモワシの卵を食している。濃厚なこの黄身、とろけるようなこの舌触り、これはあれだけの危険を冒してでも取る価値はある。

先程のスシの試験に比べれば、かなり簡単だった…………スシの結果?…レオリオと同じだったとだけ言っておこう。暫くの間落ち込んでいたのは言うまでも無いだろう。

それにしても、下手すれば谷底に落ちてしまうこの試験は、度胸が無い奴には無理な試験だったろう。かく言う私はそれなりに度胸はあるって言うかバンジージャンプとか好きだしね。こんなの屁でもない。



「…度胸も無い奴がハンターになれる訳無いだろ」



やめるのも勇気。そんなのただの綺麗事だ。ここで諦めるような奴がハンターになるだなんて一生有り得ない。

スシの試験で試験官にやられてたデブ(この野郎ただで卵食いやがった)は次回に出直しらしい。一生受かんねぇよあんた。



「ゴンは優しいねぇ…」

「ん?」

「いや、何でもない」



私だったら一瞥もしないな、とゴンの頭を撫でながらしみじみ思った。

ま、何はともあれ無事に合格出来たので良かった。この試験はイレギュラーだったため、さすがに情報も意味が無かった。が、簡単だったので助かった。

さてと、次の試験は………






************



「新人が良いですね、今年は」

「あ、やっぱりー!?あたし294番が良いと思うのよねー。ハゲだけど」

「私は断然99番ですな。彼は良い」

「あいつきっとワガママでナマイキよ。絶対B型!一緒に住めないわ!ブハラは?」

「そうだねー。新人なら285番かな」

「あー……あの子ね。何か普通そうな」

「でも全体的にバランスは良さそうでしたよ」

「何か周りの奴らがインパクトあり過ぎて逆に目立つみたいな?役得ねー!あはは!」



************






「へっ、へぶし!」

「風邪か?」

「いや、ちが、へ、へぶんん!」

「お前もうちょい女らしいくしゃみしろよ」

「女らしいくしゃみってスッキリしないから後で隠れた所で盛大にくしゃみするんだよ。レオリオ知ってた?」

「知らねぇけど知りたくなかったよ」

「………話をしても良いかの?」

「あ、すいません」



変なじいさん、もといハンター試験審査委員会代表、責任者のネテロ会長。そんな冷めた目で見ないでくれ。くしゃみなんて生理現象じゃないか。

暫く会長の話を聞いていたが、要約すると次の試験会場まで時間が掛かるからそれまで自由時間、らしい。休むも良し、次に備えるも良し………どうしようかと悩んでいたら、ゴンとキルアに船内探索に行かないかと誘われた。行っても良かったが、子供の元気さにはついていけそうにないので断った。

残念な顔をしたゴンに良心がやられたが、今は休息を優先する事にした。クラピカとレオリオも休むらしく、二人で何処かへ移動していた。私は何処で休もうかな………て言うか風呂入りたい。もう何日も入ってないもんなァ…仮にも女なんだからその辺はきちんとしたい。

風呂も入れて尚且つふかふかなベッドがある部屋は無いかと彷徨いていたら見つけた。ラッキー。部屋に誰も居ない事を確認し、ドアに鍵を掛けた。よし、これで誰にも邪魔されずに休む事が出来る。

床に荷物を放り投げ、今まで着ていた服は洗濯機に放り込んだ。あーあー、泥だらけだ。兎に角今は風呂優先だ!



「サッパリしたー!」



風呂上がりなのでタンクトップにショーパンというラフな格好だ。別に誰かが見ている訳でも無いから良いだろう。

肩にタオルを掛け、髪の毛の水気を取りつつ、私は携帯をいじり電話を掛けた。発信先はあのいつもの情報屋。



『アレ?電話早くない?もしかして落ちた?』

「違う、今休憩時間。次の試験会場まで時間が掛かるみたいだから」

『ふーん。何次試験まで行ったの?』

「次は三次試験。それで聞きたい事があるんだけど…」

『あーはいはい、試験内容か…ちょっと待って』



一体こいつの情報網はどうなっているのか。こいつ曰わく俺の手に掛かれば調べ出せない情報は無いらしい。

ピーンポーン……

ん?誰だ?この部屋誰も使ってなかった…よな。部屋主って訳でもないだろうし。



「ごめん、シャル。後でメールで送っといて」

『ん、了解』

「よろしく」



電話を切り、ドアを開ける。この直後、後悔するなど露知らず。













やあ★














(……………)
(その格好そそるね◆)
(………ギャアアァアア!)



 

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