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□変なの
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「たのもーっ!」
『…………』
「あれ、聞こえてなかった?じゃあもっかい、たの「うっせーよ!」
私も今日から華の女子高生。そしてやってきました九頭龍高校。入学式も無事終わり各クラスに移動して簡単に自己紹介。それで今日は解散だ。新入生は皆ゾロゾロと帰っていく。そんな中私は校舎内を彷徨いている。色んな先輩達にジロジロと見られているが気にしない。ていうかアレだね、好評よりも悪評の割合が高い九頭高だけど、見た感じ普通そうだ。良かった良かった。
彷徨いているとは言っても、一応目的の場所はある。場所と言うか人だけど。何組か聞いておけば良かった。こうなったら後は体育館かな。入学式の日だろうがきっと練習はあるはずだ。体育館に近付くにつれ、バッシュのスキール音が聞こえてきた。やっぱり練習してた。
よし、ここは第一印象が大切だ。いや、まァもう会ってるけども。よし、てことで冒頭に戻る訳だけど、二回目のたのもーを言おうとしたらボールが飛んできた。見事脳天直撃。首がゴキッつった!
「いだぁ!」
「ヤスハラさんいくら何でも女の子にボール投げちゃダメですよ」
「いいんだよ、あいつ石頭だから」
「ヤスさん酷い!」
顔を伏せて泣き真似をしてみたが、皆が近寄ってくる前にヤスさんがそれ泣き真似だとバラしたので誰も心配してくれなかった。酷い。
「お前ホントに来たな」
「約束を守る女ですから」
イエーイとVサインをしながら言えばヤスさんに頭をぐしゃぐしゃっとされた。うわ、汗すご。
周りを見渡してみると、前に見たことない人が何人か居た。あ、小さい女の子が居る。小さいとは言ってもきっと先輩なんだろうな。マネージャー、だよね。
「みょうじなまえ!バスケ部マネ希望です!よろしくお願いします!」
自分が出せる全力の声で自己紹介をして頭を下げる。バスケ部しか居ないこの体育館にはよく響く。顔を上げれば何人か呆気に取られてる人が居る。あり、張り切り過ぎたか。
「えと、みょうじさん?はバスケの経験ある?」
「無いけど観るのは好きです!あ、力仕事なら任してください!」
「こいつ体力馬鹿だから。奈緒ちゃんこいつに雑用押し付けてやって」
「押忍!」
「ヤスハラさん知り合いなんですか?」
「空手やってた時の後輩」
よし、ヤスさんのフォローもあってか第一印象はバッチリだな。それにしても奈緒先輩?可愛いなぁ。
「やはり女子から見てもそう思うのか」
「アレ、今私声に出してました?」
「奈緒ちゃんの可愛さは留まることを知らんのだ!」
え、私の質問スルーされた。つーかでっかいなアフロ先輩。何やらカール食べながら騒いでるけど…何か凄いなあの人。色んな意味で。
何だか横に違和感、と思って横に向けば矢鱈とでかい人が居た。この人もこの前会ってないな。近くで見上げてると首が疲れそうだ。
「初めまして!」
「初め、まして」
「背高いですね、いくつあるんですか?」
「ひゃくきゅうじゅー、はち」
「うわーおっきいですねぇ!私が手伸ばしても届かないや。すげー。あ、みょうじなまえです!先輩は?」
「茂吉、要」
「茂吉先輩!よろしくお願いしますね!」
「…もっと早く喋らんかいこのノッポ!」
茂吉先輩と話していれば後ろから怒鳴り声。ノッポってのは茂吉先輩のことだろう。なんて判りやすいあだ名。
茂吉先輩に怒鳴った人はこの前会ったな。かなり見た目のインパクトがあったからよく覚えてる。確かトビとか呼ばれてた気がする。
「お前こいつと話しててイライラせんのか!?」
「いや別に大丈夫ですよ。トビ先輩が短気過ぎるんじゃないですか?」
「うっさいわボケ!」
「あ痛!ちょ、後輩には優しくしてくださいよ!」
「生憎ワシは後輩には厳しくする質じゃ」
「後輩だろうと、関係ないんじゃ」
「お前は黙っとれ!」
「ぅわーん!ヤスさーん!」
あまりにもトビ先輩がドS過ぎたのでヤスさんに助けを求めたらまたボールが飛んできた。どうやらここのバスケ部は人に冷たいらしい。
なんか変なの入ってきた
(あ、見学してるんでお気遣いなく)