short1
□ご注意を
1ページ/1ページ
『乙女座のあなたは、今日は何をしても上手く行きません。死ぬ事もあります。特に天然パーマで死んだ魚のような目をしている人』
「……………」
思えば朝から最悪だった。結野アナのブラック占いを見てたら結果は最悪。死ぬ事もあるって何だよ。いくら結野アナでも信じないからな。俺はまだ死にたくない。
他には起きてそうそう定春には咬まれるし、神楽には朝飯全部食われるし、新八には何故か説教食らうし。ちゃんと片付けろとか、お前は俺の母ちゃんか。しかも掃除をするのに邪魔だからと追い出された。ちょっと待て。此処は俺の家だ。
…まァ、今日は特に仕事は無かったしパチンコをやりに行った……は良いけど一切当たらなかった。長谷川さんも一緒に居たが、俺と同じく当たらなかったようだ。
公園で休んでいたら真選組の…アレ、名前何だっけ…あ、地味崎?…思い出せないからジミーでいいか。ジミーが居た。バドミントンの素振りをしたり、カバディをしたり………あいつ何してんの?暫く見ていたら此方に気付いたのかジミーのくせして爽やかに一緒にやろうと誘ってきた。何だかムカついたのでラケットを折ってからその場を去った。
甘味処で団子を食べながら目の前の通りを行き交う人々を眺めていたら、ドMストーカーが電柱の影から此方を見ているのに気が付いた。気持ち悪かったので食べ終わった串を投げつけてやった。すると何とまァ頭に命中した。あのストーカー忍者じゃなかったっけ。後ろで何やら気持ち悪い事を大声で言っていたが、俺は無視を決め込む事にした。
大通りを歩いていたら糞警官共に出会してしまった。朝から機嫌が悪いと言うのに何でこんなムカつく奴等にまで会わねばならないのか。そして相変わらず多串君はネチネチと煩い。お前は京女か。総一郎君も相変わらずで、今日も多串君で遊んでいるようだ。いつもの様に多串君の怒りを買い、総一郎君は逃げ出す。奴等の姿が見えている内に、俺は背中を向け歩き出した。
歩いているとお妙と九兵衛に会った。二人で買い物をしていたらしい。まだ買い物を続けるらしく、彼女達は歩き出す。そして彼女達と別れてすぐ俺の目に入ってきたのはゴリラと変態。バレバレな変装をしたこいつらは所謂ストーカーだ。毎度毎度ご苦労な事だ。まァ俺には関係無いと思い歩き始めた。が、後ろから聞こえてきた怒声、そして叫び声と共に突然上からきた圧力に負け俺は地に伏した。
先程起こった事はもう忘れよう。悪い、と言うかどーでもいい思い出でしかない。しかし気分を新たに歩き始めたは良いが、また面倒な奴に出会した。何で世を騒がせているテロリストがこんな馬鹿なのだろう。ヅラと言えばウザい位訂正してくるし、何かラップ歌ってるし。物凄く苛々する。ペットのエリザベスは何かもう良い。中身おっさんだし。
もう日も暮れてきて、良い子は家に帰る時間だ。まァ俺は良い子でも無いので遅く帰っても何ら問題は無いが………今日はもう帰ろう。占いのせいで疑心暗鬼になっていたのだろうか。いつもに増して疲れた気がする。
家の前に着くと同時に、スナックお登勢の扉が開いた。どうやら今から店開きらしい。暖簾を掛けに出てきたババァは俺が近くに居た事に多少なり驚いたようだった。また家賃どうこう言われるのだろうと思い、足早に二階にある我が家に行こうとしたが、ババァの一言に俺の足が止まった。今日位うちで飯を食べていけ…だと?いつもは家賃払えだのちゃんと仕事しろだの言ってくるのに…飯を食べていけ…!?頭でも打ったのかと聞いてみたら今度は怒られた。ババァが考える事は訳が解らない。そして俺は自分の家に帰ってきた。
…………静か過ぎやしないか。それに真っ暗だ。神楽や新八は居ないのだろうか。あ、もしや新八の家にでも行っているのか。だとしたら晩飯を食べてから帰れば良かった。どうするか、何か食材はあっただろうか。無かったら面倒だが何処かに食べにでも、
「「おかえり!」」
「……………」
何だこいつら居たのか…………って違う、注目すべきはそこじゃない。誕生日おめでとうと書かれた垂れ幕。色紙で作った輪の装飾。いつもより少し豪勢な食事、そしてケーキ………………あァそうか、今日は俺の誕生日だ。
「帰ってくるの遅いアル!何処ほっつき歩いてたネ!」
「早く此方に来てください。皆で食べましょう」
「……………」
「あ、でもその前に、ほら」
「あ、忘れてたアル!」
「ワンッ!」
「せーの、」
「「誕生日、おめでとう!!」」
『ですが、無事生き残れたら最後に良い事があるでしょう』
たまにはこんな日も悪く無い。
ブラック占いにご注意を
(ありがとう、な)