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□頭の片隅に
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学生だった事がある人ならば誰もが通る道。それはテストだ。
小学校のカラーテストや中学校、高校の中間、期末、学年末、学校によっては実力テストなど種類は様々だ。
そして私は今高校三年の一学期の期末テストの最中である。そして今の教科は数学。
え?ちゃんとテストに集中しろって?
……ふっ、何を仰いますか。数学なんて人生に必要無いのです。よって真剣にテストを受けるなんて時間の無バシン!
「だ!…いってー…何すんだこのニコチンマヨラー!」
「真剣に受けなくても良いが静かにしてろ」
「誰がこんな数字の羅列のテストなんて受けるか!」
数学担当のニコチンマヨラーこと土方先生は見た目が大変良ろしく生徒の面倒見も良いので、生徒からの人気は物凄い(主に女子生徒)。先生に褒められたいが為に数学の勉強を頑張る子が増えたとか増えてないとか。
因みに私は前にも述べた通り、数学なんてものには毛程の興味もございません。なのでこんなニコチンマヨラーはどうでもいい。
「みょうじ、テスト終わったら職員室な」
「……ジーザス!」
「だから頼むから黙れ」
「お前そんなに数学が嫌いか」
「いや、数学がっていうより土方先生が嫌いです」
「どんだけ正直だよ」
もうちょっとオブラートに包めよと言われてもこんなニコチンマヨラーに使うオブラートは生憎持ち合わせておりません。
「お前数学は破滅的に悪いけど、国語は良いんだよな…もうちょっと平均的になんねェのか」
「数学は望み薄ですね」
「努力する気もねェ、と」
「おぉ!よく解りましたね!」
「アホか!」
「あでっ!」
どうやらこのニコチンマヨラーは人の頭を叩くのがお好きなようだ。国語の問題を解く為の私のこの頭が悪くなったらどうしてくれるんだ!とはさすがに言わないでおこう。火に油を注ぐようなものだし。
まァいくら職員室に呼び出されようが、頭叩かれようが、私の数学に対するやる気は今までと同じである。
国語にしたって理由があるからで、他の教科は至って平均的だ(若干赤点寄りではあるが)。その理由と言うのは、
「アレ、みょうじじゃん。何してんのこんな所で」
「坂田先生」
坂田銀八先生だ。
結局の所土方先生を好きな女子生徒と変わらないかもしれないが、それでも良いのだ。
「明日国語のテストだからなー。今回も期待してんぞ」
「えぇ、そりゃもう頑張りますよ!」
「そのやる気を数学にも出してくれ」
「土方君のテストなんてやる気起きないに決まってるよなー」
「ですよねー」
「何なのお前らマジで」
土方先生の眉間の皺と瞳孔が大変な事になっているが、それは見なかった事にして私は職員室を後にした。後の事は坂田先生に任した!だって私は明日の国語のテストの為に早く帰って勉強しなければならないのだ!
ほとんどの教科を一夜漬けでやるのに対し、国語だけは一週間前から勉強をする。授業も寝ないで頑張ってる。ノートもきちんととるし、教科書の書き込みも凄い事になってる。これだけやってるのだから、点数はいつも満点に近い。実際満点を取った事もある。
テストは明日。幸いな事に教科は国語のみである。今日はちゃんと睡眠を取って、明日のテストに支障が出ないようにしなければ!
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「ようし、この前のテスト返すぞー」
そこかしこからヤメてだのイヤだだの悲鳴が聞こえてくるが、私は余裕をかましている。
実際テストはとても良く出来た。勉強した所がちゃんと出題されたし、問題も解らないものは無かった。後はケアレスミスが無いかどうかだ。
「みょうじ」
「はい」
「満点だ、頑張ったな」
「……へへっ」
周りからの拍手や歓声など私にとってはどうでもいい。私の頭を撫でてくれているこの手と目の前の笑顔さえあれば良い。
この為だけに私は試験を頑張るのだ。
頭の片隅に小さくでも良いから
(国語が得意なあんな奴が居たな、と覚えていてほしいから)
(そして数学はやっぱり赤座布団でした)
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先生とか好きになったらこんな健気な考えしか出来んと思うのです。
土方夢と見せ掛けて坂田夢。