BL

□かまって!
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机の上に置いておいた携帯を手にとる。充電は終わっていない。未読メールが5通あるようだ。全て伊月くんからだろう。手放すその時まで、彼とやり取りをしていたから。
夜も更け、夕食も済ませて残りは寝るだけの状態。恒例の伊月くんとのメールのやり取りをしていた。
なのに。

『ちょっと由孝、お風呂洗ってよ。暇でしょ?』
『はぁ!? 自分でやれよ!』
『ほら、私忙しいから』
『俺も忙しいのに……。わーったよ、やればいいんだろ、やれば』

たまに発動する母さんの唐突な行動。渋々風呂洗いをする。くそ、携帯が気になる……!
10分ほどすれば綺麗な風呂場に。さぁ、続きを……と思った矢先だ。

『ついでに食器も洗ってー』

何も言うまい。
俺は母さんからの要望を全てやった。時間を確認すれば、伊月くんからのメールを読んでから1時間は経とうとしている。
うわー、怒ってるかな……。いや、寂しがってるかも。
そして未読メールを着信順に読んでいく。

XX/XX XX:XX
from 伊月くん
Sb (non title)
---------------
森山さん?



XX/XX XX:XX
from 伊月くん
Sb (non title)
---------------
ヾ(⌒(ノ'ω')ノねーねー

ヾ(⌒(ノ'ω')ノかまってください!



XX/XX XX:XX
from 伊月くん
Sb (non title)
---------------
ヾ(⌒(ノ'ω')ノ読んでますか?



XX/XX XX:XX
from 伊月くん
Sb (non title)
---------------
__(⌒(_'ω')_




XX/XX XX:XX
from 伊月くん
Sb (non title)
---------------
ヾ(⌒(ノ'ω')ノおーい


ヾ(⌒(ノ'ω')ノ寝てるんですか?


__(⌒(_'ω')_シュン




「……え、何この可愛い生き物」

どこかで見た事があるAA。コピペしたのだろうか。言葉は伊月くんらしいものになっているが、やはり見覚えがある。
悶えていると新たにメールを受信する。これも伊月くんだ。

XX/XX XX:XX
from 伊月くん
Sb (non title)
---------------
__(⌒(_'ω')_好きです



ヾ(⌒(_*'ω'*)_好きー!



 
思わずベッドを勢いよく叩く。さながら床ドンのように。
何この可愛い生き物。何この可愛い生き物。
大切な事なので何度も繰り返す。
携帯が鳴り響く。これは着信だ。画面には伊月くんの名前。
ボタンを押す。ピッ。これで通話状態に切り替わる。

「も、もしもs」
『森山さん! さっきまでのメール読まずに消してください!』
「え、なんで?」
『なんでもです!』

焦った声で話す伊月くん。送ってから恥ずかしくなったのかな。電話の向こう側の伊月くんは真っ赤に染まっているのだろう。それはとても惜しい。実際に目の前で見たい。あー、ニヤニヤと顔が緩むのが分かる。

「……わかったわかった。消しとくよ。なんてあったの?」

ホッとした気配の後の沈黙。数秒待ってると声を出す気配が伝わる。

『……、秘密、です』

うーむ、人差し指を唇に当てて艶やかに笑う伊月くんを受信してしまった。エロいよ伊月くん。
ちなみにだ。伊月くんには消すと言ったが、この俺が消すわけないだろ? ちゃんと保護かけてデータフォルダーに保存した。抜かりは無い。



***
伊月先輩厨な森山先輩である

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