BL

□カズケン
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注意!
佳主馬くんの妹の名前を真佳(まか)に設定してあります




「あうー」
「はは、くすぐったいよ」
「あら、真佳ちゃんったら、健二くんにすごくなついてる。うらやましいなー……」

「…………」

つまんない。
せっかく久々に会えたのに。いつもは画面が二人の間にあった。それが邪魔で邪魔で鬱陶しくて、早く夏休みにならないかなって、考えてた。
なのに。

「あれ、佳主馬くん?」
「……」
「おーい」

健二さんは、夏希さんと一緒に僕の妹……真佳ばかり構っている。健二さんと話せたのはほんの数秒。しかも内容はただの挨拶だ。
一緒の部屋にいるのに、話せなくて、視線は来なくて。
つまらないからあの涼しい場所へ行こうと、パソコンを片手に立ち上がった。
気付かずにそのまま戯れるかと思ったが、健二さんは僕に気付き、声をかけてくれた。
嬉しさと、何かどす黒い感情が混ぜこぜになって、せっかく声をかけてもらったのに、無視してあの部屋へ向かった。……健二さんを見ないように。



「…………」

佳主馬くんとの、久々の画面越しではない対面。何か照れくさくって、彼の妹である真佳ちゃんを夏希先輩と構っていた。
だけど、佳主馬くんが無言で出て行った。それからの先輩は、何やら考え事をしている。しばらくして
、考えがまとまったのか、俺に何かを訴えかけるように見つめてくる。……正直に言うと、居心地が悪い。
意を決して、口を開く。けど。

「……あの、」
「真佳ちゃん、健二くんから離れて私と遊びましょ? 健二くんは佳主馬お兄ちゃんのだから、ね?」

俺から視線を外し、俺の腕の中にいる真佳ちゃんを見つめながら自分のもとへ抱き寄せる。……先ほどまでは、頑なに俺から離れようとしなかったのに、あっさりと真佳ちゃんは夏希先輩の腕の中へ。

「ほら、佳主馬くんはいいの? そろそろ行かないと、手に負えないくらい拗ねちゃうわよ」
「……でも」

行くのを渋っていると、笑顔な先輩は言葉で俺の背中を押す。

「ほらほら、行った行った!」
「……それじゃあ、行きます」

手を振る先輩に見送られながら、彼のもとへ向かう。
大切な、彼のもとへ。


「……佳主馬くん」
「…………」
「寂しかった?」
「……うん」
「悲しかった?」
「……うん」
「妹に嫉妬した?」
「………………うん」

数秒した後に肯定の返事。目を合わせずとも、照れているのは丸分かりだ。髪の毛の間からのぞく耳が、分かりやすいほどに赤くなっている。
そんな彼を、後ろから包むよ
うに抱き締める。少しの間固まっていたが、離さないと分かったのか諦めて、身体を預けてくる。自分に甘える愛しい子に、嫉妬して嬉しかったよ、ひとりにしてごめんね、という気持ちを込めて呟く。

「好きだよ」
「……うん」
「佳主馬くんは?」
「…………好き、だよ」
「うん」



夏休みを大切な人と


(ふふふ……仲良しっていいなぁー。ね? 真佳ちゃん)
(だぁ!)



***

……あれー?
カズケンのリクだったのに、ケンカズになってる気がする
……ごめんね!
リクエストありがとうございましたー!

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