Mix!!
□交錯する者達
1ページ/5ページ
くん、と、その少年は突然空の彼方を見やった
その眼光は鋭く…が、すぐに気の抜けた表情に戻る
『?どうしたんですか?』
少年の様子を見兼ねて、黒髪をさらさらと靡かせながら少女は問うた
「なんつーか…悪寒みてぇな…」
『まさか、イタリアでなにか…?』
「…いや…これは…」
この感じは、違う。
少年は確信する。思考を急速に回転させながら。
これは……事件が起こるような予感ではなかった。
ただ、ただ何かは確実に起こるのであろう、予感。
それが吉となるか凶となるか、それすらもわからないが、この嵐を未然に防ぐことは到底できないのだろうとも悟っていた。
ふう、と息を吐く。肩を落とす。なんて面倒な日常だと、心のなかで嘆いた。
傍らには双子の妹が、心配そうに顔を覗き込んでいる。
『に、兄さま……?』
「ん、まあ、なんとかなんだろ」
防げないのなら、
打破するまでだと。
―――少年は、優美に微笑った。