Mix!!

□黒か白か
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『お帰りなさい、兄さま』

仄かに朝食の匂いが香ってくる玄関で、愛吏は俺の早起きに驚くこともなく、どこか嬉しそうに笑いながら出迎えた。

「……なんだよ」

『ふふ、なんだか嬉しくて』

「お前なぁ、…!」

嬉しいと言うわりに、その横顔は目を伏せていた
そこで気づく、愛吏が俺の様子に何も言ってこなかったこと。寧ろ俺を動かしていたような、最近の、態度に。
ああ、なんだ、そういうことか

『兄さま?』

「勝手に増やすなよ」

『…!』

愛吏の頭を撫で、そのままあやすように抱き締める
すると恥ずかしそうに、少し苦しそうに愛吏は俯いた。

『…高校生になったことですし、……そのうち、兄さまにも、…もっともっと、大切な方達が増えるでしょう……?』

……他の友人とか、恋人、とか。

そう言う愛吏の言葉に自分の未来を想像した。

「悪いけど、何十年後だって俺はお前の隣にいるぞ」

『でも、』

「なんだよ、兄ちゃん離れか?」

悲しいなぁまったくとふざけながら愛吏の頭に頬擦りをすると、その肩がぷるぷると震えだす、お、怒るか?

「……お前が嫌だと言えば、いつでも離れる。
でもその時までは、兄さんでいさせてくれよ。」

『にい、さま』

「今は愛吏の周りでいい。お前の隣で、あいつらと関わっていられればそれで。
心配せずとも、俺個人の人間関係くらいいつでも作れる。……だから大丈夫だ。」

何でもかんでも、自分がついていかないように。
俺を自由にさせるために…取った行動だったんだろう
余計なお世話というか、なんというか。

「ほら、飯、食うぞ」

今は、まだ。

お前が俺の要であってくれ。




『(……罪だったのでしょうか)』

リビングに向かう兄の背に、問い掛ける
過ちだったのでしょうか。私の、あの願いは。

貴方を、私という存在に縛ってしまう呪いをかけてしまったのでしょうか?

顔を両手で覆いたくなる衝動を抑えた。ごめんなさい、ごめんなさい、ごめんなさい。
依存してしまって。求めてしまって。縋ってしまって。


それでも私は、今日も貴方の隣にいるの
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