Mix!!
□秒針は静かに
2ﾍﾟｰｼﾞ/7ﾍﾟｰｼﾞ
あの後、とりあえず時間もとれないので昼休みか放課後にと教室に戻り、席につく。
律儀に授業の準備をする愛吏を見て、次に転校生を見る。あの様子じゃ質問攻めには遭わなかったようだ。
「どーすっかなー……」
『リボーンさんはご存じなんでしょうか？
一応本部に報告も……』
「いや、サボるか寝るかの話」
『兄さまってば…！！』
許せ妹よ。
ごろ、と机に伏すと、入ってきた教師……ああ一時間目は数学だったか。
雷淀が出欠を確認し始め、次いで小テストがあることを告げる。
騒ぐ教室。それと、目の前の小さな主。いやいや、お前小テストで躓いたら駄目だろ。折角赤点回避したのに。
まあ関係ない、時間ギリギリになったら少し起きて全部書いてまた寝れば。ていうかいつも思うけど愛吏、お前本当律儀過ぎだろ。
「月影君」
「……」
いつものように、睡眠に入ろうとした、その時
「起きろ」
「っ、む」
頭を指でぐい、と傾けられ、驚いてちらりと雷淀を見た
「テストはちゃんとやるっての……」
「逆だ、小テスト中くらい起きろ。いつも見逃してやってるだろ」
「……時間余る」
「起きていろ」
「……」
顔を顰める愛羅と、ただただ見下ろす雪斗の見えない攻防戦。
折れたのは、
「小テスト終わったら、寝る」
愛羅だった。
その様子を愛吏はぱちくりと目を丸くしながら見ている。そして、雪斗に尊敬の眼差し。
『(に、兄さまが授業中ちゃんと起きて、テストを受けてます……！！)』
ぶわわっと瞳に涙を浮かべ、噛み締める愛吏。
愛羅は不服そうにシャーペンを持つと、内心小さく舌打ちをした
「(理に敵ってるからしかたねぇか…)」
雪斗は愛羅がしっかりと体を起こしたのを確認すると、教卓の方へ戻っていく。
その背中を目で追っていると、感じる、視線。
……おいおい随分露骨じゃねぇか。
愛吏に目配せをする。
そろそろ、仕事すっか。