Mix!!

□秒針は静かに
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当たり前のようにそこにあるその部屋。
そして、扉を開けると当たり前のようにその椅子に腰を据えている愛しい人。
彼は相変わらず、その生き方を貫き通していて。
書類から顔をあげ、ペンを置き、

「愛吏、おいで」

柔らかいその微笑みに、安堵して、顔が綻ぶ。


『――恭弥さん、』

「ワオ、今日は積極的だね」

椅子に座ったままの恭弥さんに両腕を伸ばすと、満足そうに彼は笑った

「何かあったの?君が自ら此処に来るなんて珍しい。」

『お聞きしたいことが、幾つか…』

抱擁を終え、恭弥さんは私をソファに座らせる。
その隣に腰を下ろし恭弥さんは少し真剣な目で訊いてきた。

『本日転校して来た、黒金あつしさんのことなんですが…』

「……ふうん?
彼の書類には不備はないようだったけれど。」

引き出しから書類の束を取りだし、私に差し出す。
至って、極々普通の証明書。
ただ、こんな書面のものはどうだって書き換えられるわけで。

周辺から探っていくべきだろうか、否、今は綱吉さま達から離れることも危うい。
では、本人に直接?それで、標的がこちらではなかったら?
わざわざ手の内を明かすことになってしまう。ボンゴレ10代目が、綱吉さまだということを。
沢田綱吉という存在が、露見されてしまう。
けれどあの視線は、普通ではないと判断すべきだろう、……ならば、やはり。


「愛吏、」

『は、いっ……!』

呼ばれたかと思えば、突然重ねるだけのキスをされた。

『!恭弥さん…!心臓に、悪いです!』

「妬いた。
…あまり僕の前で、他の男のこと考えないで。」

『ぜ…善処します…』

「それで、







黒金は、強いの?」

ぎらりと目を光らせる恭弥さんに、がくり、と肩を落とした。
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