戦国

□儚くて夢にも人を見つる夜は
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ここは楽園だよ。


儚く美しい夢の中で彼は微笑む。







その痩躯から力強く鞭を振るい、花を散らす突風の様に遠慮なく服ごと肌を引き裂いて行く。


「くっ…。」



ビリリと走る痛みに眉をしかめながらも、独眼竜は苛烈な視線で半兵衛を射貫く。



(素晴らしい)




伊達軍への侵攻後、竜を捕らえた軍師はこの部屋に政宗を軟禁した。湿気と黴の臭いが鼻孔を掠めるこの部屋は恐らくは地下室か。



拘束する鎖の重い音と乱れた呼吸しか聞こえないこの世界で、彼の白い肌と赤く傷ついた裸身は、暗闇とほのかな明かりが作りあげる美しい芸術品のようだと半兵衛は思う。





「さあ、始めようか。」



−−


鞭の柄で政宗の首を締めるようにとらえ、紫に染まる唇が後ろから大きく甘噛みしては舐める。歯でなぶる愛撫に鳥肌が立ち両腕の鎖が逃れようとガシャンと鳴るが無駄に終わる。


「逃げても無駄だよ。」


突然、激しく肩に歯を立て、ギリギリと肌を破り半兵衛の小さな唇から血が流れる。生きたまま肉を持っていかれる感覚に戦慄し凍り付く。


口元に着いた血を指で搦め捕って唇に含む、半兵衛の淫靡な行為に政宗は息を呑んだ。



「蒼竜の血は赤いんだね。」



そう言ってまた唇を首筋にゆっくりとよせる。先程の行為を思い出し一瞬身体を強張らせるが、嘘のような優しい愛撫を施され思わず安堵と共に熱い吐息を洩らしてしまう。

しかし、胸を女にするように吸う行為に驚き視線を落とすと、ふと半兵衛が上を向いた。


そのまま目線を外さずに舌を突き出すと、見せ付けるように尖りをなぶり続けながら


「君は見られるのは好きかい?」


チロチロと視界から欲情する事を心得えている男の攻めと、認めてはならない艶態に政宗の雄がギュウと熱くなり、視線から逃げるために目をそらす。



二人は暫く甘い淫欲に耽っていたが、不意に半兵衛が離れた。


「あんまり大人しくされても興醒めだな。ああ…」



そう言い、暗闇の隅から何かを引き出した。




「面白い事を思いついたよ。」



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